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効率的な再生エネルギーの活用へ、ホンダは“小さいバケツ”に電気をためるCEATEC 2017

ホンダは、「CEATEC JAPAN 2017」において、着脱可能な可搬式バッテリーと充放電器でマイクログリッドを構築する「Honda Mobile Power Pack」を展示した。小規模な太陽光発電や風力発電、水力発電と組み合わせることで、エネルギーの地産地消を実現する。

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着脱可能な可搬式バッテリーと充放電器でマイクログリッドを構築する「Honda Mobile Power Pack」(クリックして拡大)

 ホンダは、「CEATEC JAPAN 2017」(2017年10月3〜6日、幕張メッセ)において、着脱可能な可搬式バッテリーと充放電器でマイクログリッドを構築する「Honda Mobile Power Pack(モバイルパワーパック)」を展示した。

 容量1kWhのモバイルパワーパックと、使用後の充電や充電済みモバイルパワーパックとの交換を行うエクスチェンジャーで構成されている。小規模な太陽光発電や風力発電、水力発電と組み合わせることにより、エネルギーの地産地消を実現する。

 2018年にはフィリピンやインドネシアでモバイルパワーパックを使った実証実験を予定しているほか、日本郵便との協業でも使用する計画だ。また、これらの実証実験に合わせて2018年中に交換式バッテリーで走行する電動バイクを投入する計画だ。ホンダは2015年の東京モーターショーなどで、電動二輪車のコンセプトモデル「EV-Cub Concept」を披露しており、バッテリーが着脱できる設計となっている。

電動二輪車のコンセプトモデル「EV-Cub Concept」(左)。モバイルパワーパックとはデザインが異なるが、バッテリーは着脱式(右)(クリックして拡大) 出典:ホンダ

モバイルパワーパックとは?

 モバイルパワーパックは「女性が辛うじて持てる重さ」(ホンダの説明員)の可搬式バッテリー。蓄電池の小型化や可搬型に対するニーズが高まることに対応して開発したものだ。「これまでは大型の蓄電池が主流だったが、小さい“バケツ”にためてその都度使う方が効率よくエネルギーを利用できるのではないか」(ホンダの説明員)。

モバイルパワーパックの容量は1個1kWh。専用のユニットに置けば家庭での電源にもなる(クリックして拡大)

 電動バイクに搭載して駆動用バッテリーとして使ったり、専用のユニットに設置して室内の電源としたりすることができる。非常時の電源や、補助電源、常時電源としても使える。モバイルパワーパックの使用後は、エクスチェンジャーに収めると充電後のモバイルパワーパックを代わりに取り出して使うことができる。


使用済みのモバイルパワーパックとの交換や充電を行うエクスチェンジャー(クリックして拡大)

 エクスチェジャーの適正な設置台数については、実証実験を通じて検証していく。「バッテリー交換時に利用料金をもらうことで、設置コストをまかなうことになるだろう。モバイルパワーパックの需給にあった台数がどのようになるか見極めていく。意義が正しくても、コストが見合わなければ普及しないからだ」(ホンダの説明員)。

 実証実験に関し、フィリピンでは風力発電と、インドネシアでは電動モビリティーとの連携を行う。モバイルパワーパックによって蓄電の手段を提供することにより、再生エネルギーによる電力を地産地消できるようにする。都市部であっても、自動販売機のように電源を取りながら設置することも可能ではある。


小規模な水力発電を行うジャカルタ郊外の集落。各家庭で電気が必要になる時間帯のみ発電するため、それ以外の時間は電気が使えない(クリックして拡大) 出典:ホンダ

 例えば、ジャカルタ郊外では、付近の河川から水を引いて小規模な水力発電で集落の電力をまかなうといった電力供給が行われている。蓄電の手段がないため、多くの住宅で電気が使われる時間帯のみ水力発電を稼働させ、それ以外は発電を止める形で運営されている。「蓄電して使う手段があれば日中に発電した電力をためておけるようになり、今まであった電気が使えない時間を無くすことができる」(ホンダの説明員)。

 また、ホンダは日本郵便と2017年3月に、郵便配達での電動二輪車の活用に向けた協業の検討を開始すると発表。現行の二輪車に代わる電動車両の導入や、郵便局での充電の実証実験に取り組む。郵便局にモバイルパワーパックとエクスチェンジャーを設置し、配達の電動バイクの駆動用バッテリーに使う想定で、日本郵政は電動バイクが普及すれば地域にもモバイルパワーパックを広く開放する考えだ。

 ホンダの説明員は「われわれは電池屋ではないので、モバイルパワーパックをたくさん売ってもうけようという考え方はしていない。小型で可搬型の蓄電池がまだほとんど出ていないが、規格をつくって互換性を持たせながら普及していきたいと考えている」と説明した。

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