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ホンダの風変わりなコンセプトカー「WANDERシリーズ」に込められたリアリティー自動運転技術(1/2 ページ)

ホンダの「東京モーターショー2015」で大きな存在感を示していたのが、“WANDER=自由に動き回る”をコンセプトにした「Honda WANDER STAND CONCEPT」と「Honda WANDER WALKER CONCEPT」だろう。デザインコンセプトの位置付けで市販予定車ではないが、強い思いとリアリティーが込められていた。

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 ホンダは「東京モーターショー2015」(一般公開日:2015年10月30日〜11月8日)において、2015年度内に発売予定の燃料電池車「クラリティ フューエル セル」など、四輪車と二輪車合わせて12モデルを世界初公開した。

ホンダの八郷隆弘氏と「クラリティ フューエル セル」、「Super Cub Concept」
ホンダの八郷隆弘氏と「クラリティ フューエル セル」、「Super Cub Concept」(クリックで拡大)

 2015年6月に就任した新社長の八郷隆弘氏が登壇したプレスブリーフィングでは、二輪車「スーパーカブ」の電動バイク版「EV-Cub Concept」や環境性能向上版「Super Cub Concept」、MotoGPで走るレース車両「RC213V」の市販版「RC213V-S」、新型「NSX」、新型「シビック TYPE R」、DCT搭載のオフロード二輪車「CRF1000L Africa Twin」、そしてクラリティ フューエル セルなど数々の世界初公開もしくは日本初公開モデルについての言及があった。

 しかし、ホンダの展示ブースで大きな存在感を示しながら、プレスブリーフィングでは全くと言っていいほど触れられなかったモデルがある。“WANDER=自由に動き回る”をコンセプトにしたコンセプトカー、「Honda WANDER STAND CONCEPT(以下、WANDER STAND)」と「Honda WANDER WALKER CONCEPT(以下、WANDER WALKER)」だ。

「WANDER STAND」は「自由に移動する喜びをもっと広げる」

 WANDER STANDは、外形寸法が全長2500×全幅1250×全高1850mm。全長と全幅の短さに対してミニバン以上になる全高が印象的な車両だ。乗降口の低さと全高の高さもあって、車両に乗り込む際には、体を大きくかがませることなくそのままウォークインできる構造になっている。乗員数は2人で、車両中央のシートに左右に並んで着座することになる。

ホンダの「WANDER STAND」
ホンダの「WANDER STAND」(クリックで拡大)
「WANDER STAND」に乗り込む様子「WANDER STAND」に乗り込む様子 「WANDER STAND」に乗り込む様子。そのままウォークイン(クリックで拡大)
「WANDER STAND」の座席「WANDER STAND」の操作系 「WANDER STAND」の座席(左)と操作系(右)(クリックで拡大) 出典:ホンダ

 パワートレインは、車両の四隅に組み込んだ、4個の全方位駆動車輪機構「Honda Omni Traction Drive System」になる。パーソナルモビリティ「UNI-CUB」にも採用しているもので、車輪の回転方向である前後移動に加えて、真横や斜めなどさまざまな方向に移動できるのが特徴。実際に、WANDER STANDも、車両に前方を移動方向に向けることなく、真横や斜めに移動できる。その場回転も可能だ。

 さらにWANDER STANDには、ホンダが開発中の高速道路向け自動運転技術の実験車に搭載しているとの同様のセンサーが組み込まれており、自動運転により乗員が運転操作を行わなくてもよい設定になっている。ダッシュボード中央のレバーを使えば、自動運転から手動運転に即座に切り替えることもできる。

ホンダが開発中の高速道路向け自動運転技術の実験車の概要
ホンダが開発中の高速道路向け自動運転技術の実験車の概要(クリックで拡大) 出典:ホンダ

 小さめの外形寸法、2人乗り、電動パワートレインである点を考えると、各社が実証実験を進めている超小型電気自動車(EV)の進化バージョンといったイメージになるだろう。

 だがWANDER STANDの開発の意図は、超小型EVというよりも、「自由に移動する喜びをもっと広げる」ところにある。開発担当者は、「全方位駆動車輪機構による自在な移動、歩行者との共存も可能な自動運転技術、自動運転の行き先と異なる方向に行きたいときには即座に移行できる手動運転など、ホンダの考える将来的なモビリティの形の1つを詰め込んだ」と語る。

 実際にWANDER STANDがそのまま商品化されるわけではないが、将来的な完全自動運転技術を搭載する車両には、WANDER STANDの要素は少なからず採用されるかもしれない。展示の流れとして、運転支援システム「ホンダ センシング」、開発中の高速道路向け自動運転技術、そして通路を挟んでWANDER STANDが並んでいるところからも、そういった意図が感じられる。

「WANDER STAND」のデモンストレーション。自動運転や、全方位駆動車輪機構による前後左右への移動やその場回転などの機能を確認できる(クリックで再生)
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