ホンダと日本郵便が電動二輪で配達、郵便局に充電ステーションも整備:電気自動車
日本郵便とホンダは、郵便配達での電動二輪車の活用に向けた協業の検討を開始する。地球環境に配慮した郵便配達業務を行うため、現行の二輪車に代わる電動車両の導入や、郵便局での充電の実証実験に取り組む。効率的な車両運行に向けてテレマティクスサービスの活用も進める。
日本郵便とホンダは2017年3月23日、郵便配達での電動二輪車の活用に向けた協業の検討を開始すると発表した。地球環境に配慮した郵便配達業務を行うため、現行の二輪車に代わる電動車両の導入や、郵便局での充電の実証実験に取り組む。効率的な車両運行に向けてテレマティクスサービスの活用も進める。
日本郵便が配達に使用する二輪車は全国に8万5000台ある。配達業務を行う郵便局は4000カ所ある。
電動車両を配達に
日本郵便はホンダが開発する電動二輪車を使用し、郵便配達業務への電動二輪車の導入可能性を検討する。排出ガス規制が強化される中においても、永続的に郵便配達業務を続けられる体制を作る目的がある。業務で電動車両を使用するため、郵便局に充電ステーションを導入して実証実験を行う。充電ステーションを通じて、郵便局がより利便性の高い人々の集う場所として地域に貢献していくことも目指す。
郵便配達業務の効率化に向けて、テレマティクスサービス「Honda Biz LINC」を利用する。Honda Biz LINCは、二輪車オーナー向けの交通情報提供サービス「Honda Moto LINC」の技術とスマートフォンやタブレット端末のGPSを活用して、業務の近距離移動の効率向上を支援するもの。リアルタイムな位置情報を使った動態管理の他、運転状況を把握しやすくして安全運転教育に役立てる。
また、Honda Biz LINCのルート探索では、建物の名称や居住者名などが分かる住宅地図を利用できる。ベテランが知る迂回(うかい)ルートのノウハウや通行上の注意点も蓄積する。
さらに、現在日本郵便で使用されているホンダの二輪車を保守する体制も全国で強化する。最適なコンディションを維持し、安定した正確・安全な配達業務を実現する。
配達二輪は1日平均35km走る
ホンダは過去に電動二輪車「EV-neo」を生産、リース販売していた。走行距離は時速30kmの定地走行テスト値で34kmで、最高出力は2.8kW/5000rpm、最大トルクは11Nm/2000rpmだった。2015年の東京モーターショーなどでは、電動二輪車のコンセプトモデル「EV-Cub Concept」を披露している。コンセプトモデルではバッテリーが着脱できる設計となっている。
日本郵便の配達用二輪車1台が1日に走行する距離は、勤務形態の違いなども踏まえて大まかに平均すると35kmだという。充電なしで1日の配達業務を終えることを考えると、EV-neoの走行距離では走行条件によっては電欠する可能性が高い。コンセプトモデルと同様の着脱式バッテリーの電動二輪車が導入されれば、走行距離の短さは解決できそうだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- スズキの燃料電池スクーターがナンバープレートを取得、静岡と福岡で走る
スズキの燃料電池二輪車「バーグマン フューエルセル」がナンバープレートを取得し、公道走行を開始する。2016年2月に国土交通省が公布、施行した燃料電池二輪車に関する保安基準に基づき、スズキはバーグマン フューエルセルの車両型式を申請。2016年8月に型式認定を受けている。 - “HY戦争”は過去の話、ホンダとヤマ発が国内向け原付1種で2018年から協業
ホンダとヤマハ発動機は、国内向けの原付1種で協業の検討を始めた。市場縮小が進む一方で保安基準や排出ガス規制への対応が課題となっており、1社単独で原付1種で収益を確保するビジネスモデルを維持し続けるのが難しくなっていた。提携範囲は原付1種のみ。 - 電動スクーターとガソリンスクーターの価格差は1万円、ヤマハ発動機「E-Vino」
ヤマハ発動機は、電動スクーター「E-Vino(イービーノ)」を2015年8月20日に発売する。税込み価格は23万6520円だが、政府から得られる「クリーンエネルギー 自動車等導入促進対策費補助金(CEV補助金)」の2万円を差し引くと21万6520円となり、ベース車のガソリンスクーター「ビーノ モルフェ」と約1万円差になる。 - ホンダが倒れない二輪車を開発中、可変のキャスター角とステアリング制御で自立
ホンダは、民生機器テクノロジーの展示会「CES 2017」において、二輪車を転倒させないアシスト技術「Honda Riding Assist」の実験車両を世界初公開した。 - ホンダのモトクロス参戦車がリチウムイオン電池を始動用バッテリーにした理由
ハイブリッド車や電気自動車などをはじめ四輪車(以下、四輪)に広く搭載されるようになっているリチウムイオン電池。これからは二輪車(以下、二輪)向けにも普及していくかもしれない。ホンダが競技用車両に始動用バッテリーとしてリチウムイオン電池を採用。しかし、二輪の始動用バッテリーとして主流なのは、リチウムイオン電池よりも安価で安全性の高い鉛電池だ。リチウムイオン電池は課題を乗り越えて二輪を変えることができるのか。