東芝は一時的要因で減益に、2023年度はパワー半導体などの設備投資を強化:製造マネジメントニュース
東芝は、2022年度の連結業績を発表。HDD関連事業や発電システム事業などによる一時的要因から前年度比で減益となっている。
東芝は2023年5月12日、2022年度(2023年3月期)の連結業績を発表。HDD関連事業や発電システム事業などによる一時的要因から前年度比で減益となっている。
一時的要因で減益に
東芝の2022年度の売上高は前年度比1%増の3兆3617億円、営業利益は同31%減の1105億円、税引き前利益は同21%減の1890億円、当期純利益は同35%減の1266億円となった。営業損益面では、HDD製品の補償引当金(130億円)、プリンティング事業ののれん減損(206億円)、HDD市況の変動影響と発電システムに関係する製品補償引当金(142億円)などの一時的なマイナス影響が発生したことから、これらが減益の要因になったとする。
セグメント別では、インフラシステムソリューション以外は、主に為替影響などにより減益となったが、東芝 代表執行役専務 CFOの平田政善氏は「マイナスの大きな要因は一時的なもので、2023年度はこれらの要因がないために上向く。しかし、将来成長に向けた固定費や構造改革費用の増加により、2022年度並みの業績予想とした」と慎重な姿勢を示す。成長への新たな投資としては、需要が大きく伸びているパワー半導体についての研究開発費や設備投資を前倒しし、市場のニーズに対応する方針としている。
なお、東芝は2023年3月に国内企業を中心とした企業群の買収提案を受け入れ非公開化を進める方針を示しているが、2023年度の業績予想については、現在の環境が維持されたものを前提としたものとしている。株式非公開化については「執行役の立場として話す立場にないが、企業価値を高めるための良いスキームだと考えている」(平田氏)としている。
今後の成長の方向性についても「基本的には1年前に発表した経営方針を踏襲する。カーボンニュートラルとデータ活用という2つの方向性で、エネルギーとインフラに価値を生み出していく。それを主力としていく」と平田氏は語っている。
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