2023年度の見通し
2024年3月期通期(2023年度)は生産台数や販売台数、利益でコロナ禍前の水準を目指す。売上高は前年度比11.3%増の4兆2000億円、営業利益は同12.2%増の3000億円、当期利益は同4.8%増の2100億円を見込む。円高のマイナス影響や原材料価格の高騰が続くが、米国を中心に販売が伸びる想定で、増収増益を目指す。
半導体などの部品供給の課題が継続するが、調達できる半導体に合わせて設計を変更するなどの対応に慣れてきたことから半導体不足の影響を緩和できる見込みだ。生産台数は前年度比15.6%増の101万台、連結販売台数は18.5%増の101万台を計画する。
為替が前年度よりも円高に推移することを想定し、為替影響が655億円の減益要因となる。販売増に伴う諸経費が310億円の増加、仕入れ先のエネルギー費用負担の軽減を織り込み、原価も267億円悪化する。米国向けの販売奨励金は前年度から200ドル増加して1100ドルとなり、総額としては249億円増加する。
2023年度は国内の生産体制再編を本格的に開始するため、設備投資が前年度比46.5%増の1800億円となる見通しだ。今後数年にわたって高水準の設備投資が続く。
EVと国内の生産体制再編
EV(電気自動車)の普及に向けた国内の生産体制の再編は2022年5月に発表していた。今回、その進捗などを説明した。
発表済みの計画では、トヨタ自動車のTHS(トヨタハイブリッドシステム)を採用した次世代e-Boxer用トランスミッションの生産を北本工場(埼玉県北本市)で行うこと、2025年ごろから矢島工場(群馬県太田市)でEVを混流生産すること、大泉工場(群馬県大泉町)で2027年以降にEV専用ラインを立ち上げることなどが示されていた。
今回、次世代e-Boxerの生産を2025年に開始すること、矢島工場のEV生産能力を2026年ごろに20万台に引き上げること、2028年ごろに大泉工場の生産ラインと合わせて40万台のEV生産能力を確保することを発表した。矢島工場のEV生産能力は当初年間10万台を予定していたが上方修正した。規制や市場の動向や変化には、上積みした生産能力と混流生産で柔軟に対応していく考えだ。
グローバルでのEVの販売台数は2026年時点で20万台を目指す。電池はトヨタ自動車とのアライアンスを通じて調達する。また、2026年末までに3モデルを追加し、EVの車種数は「ソルテラ」を含めて4モデルとなる。追加するEV3車種はSUVタイプとし、ラインアップを充実させる。北米以外に3車種を販売する地域については現時点では明らかにしなかった。
まずは国内のEV生産体制を固めて輸出で海外のEV需要に対応した上で、米国での生産も検討する。日本で培ったノウハウを米国に展開したい考えだ。スバル社長の中村知美氏は「(米国でEVを生産していないことで)補助金で競争力が落ちる影響は一部あるかもしれないが、なるべくそうならないようにやっていく。米国生産を急がなければならない局面になれば、柔軟に対応していく」とコメントした。
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