「サイズ1000分の1、コスト50分の1」のNIR分光センサー、オランダ新興企業が開発:ハノーバーメッセ2023
世界最大級の産業見本市「HANNOVER MESSE(ハノーバーメッセ)」において、オランダのMantiSpectraが開発した小型近赤外線(NIR)分光センサー「ChipSense」が、優れたスタートアップを表彰する「HERMES Startup AWARD 2023」を受賞した。
世界最大級の産業見本市「HANNOVER MESSE(ハノーバーメッセ)」(2023年4月17〜21日)において、オランダのMantiSpectraが開発した小型近赤外線(NIR)分光センサー「ChipSense」が、優れたスタートアップを表彰する「HERMES Startup AWARD(ヘルメススタートアップアワード)2023」を受賞した。同社は、同製品によって、「一般的な既存品と比べ1000分の1のサイズかつ最大50分の1のコストで素材センサーを実現できる」と説明している。
ハノーバーメッセが開催する「HERMES Startup AWARD」は、毎年ハノーバーメッセの開会式で発表される技術賞だ。同賞は、創業5年以内のスタートアップ企業の中から、特に高度な技術革新を示す優れた製品やソリューションが選出される。
堅牢かつ製造が容易な、超小型センサー
今回選出されたMantiSpectraは、2020年に創業したオランダ・アイントホーフェン工科大学発のスタートアップ。同社のコア技術であるChipSenseは、850n〜1700nmのNIR領域に選択的な波長をもつ共振空洞増強(RCE)光検出器をベースとした小型NIRセンサーだ。
同センサーは、16個のピクセルによるマルチピクセルアレイで構成、各ピクセルはそれぞれが850n〜1700nmの波長域で異なる分光感度特性を持ち、高いS/N比も実現している。1度の測定で850n〜1700nmの全てのスペクトル情報を取得でき、「分析対象の材料固有の『近赤外指紋』を得られる」という。この情報と機械学習の組み合わせによって、分類や数値化のためのトレーニングが実施できるとしている。
また、既存のMEMSベースのソリューションのような可動部品も一切含まないことから、堅牢かつ製造も容易となっている。サイズは1mm角と、「一般的な既存システムと比較し1000分の1の小型化」(説明担当者)を実現する。また、接着剤によるウエハーボンディングによってシリコンウェハー上に統合する製造プロセスを採用したことで、安価な量産が可能となっていて、「既存システムと比較し、最大50分の1の低コストで大量生産が可能だ。最終的にはセンサーの価格を10ユーロ以下にまで下げ、コンシューマー市場での大規模な導入を実現したい」(同)としている。
説明担当者は、「ChipSenseの最大の市場は、コンシューマー機器になるだろう。スマート家電はもちろん、堅牢性や低コスト、小型といったメリットから将来的にはスマートフォンやウェアラブル機器などへの搭載も考えられる。もちろん、物質の組成を測定したいケースなら産業界のどこでも使用が可能となる」と強調していた。下図は、アプリケーション例とその精度だ。
今回、同社はブースにおいて、プラスチックのリサイクル種別分類のデモを展示していた。PP(ポリプロピレン)やHDPE(高密度ポリエチレン)などの素材をChipSense搭載デバイスの上に置き測定を行うと、アプリ上で測定値に応じたリサイクル種別の数字(PPは「5」)が表示された。
同社はカスタマイズ可能なChipSense搭載のセンシングモジュールや、照明システムやデータ収集ソフトウェアなど必要な機能を統合した開発キット、クラウドプラットフォームを提供する。
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