長野パビリオンで県内中小企業の独自技術アピール、欧州市場開拓を支援:ハノーバーメッセ2023
長野県産業振興機構は「ハノーバーメッセ(Hannover Messe)2023」に長野県パビリオンを設置し、県内の中小企業4社を出展した。
長野県産業振興機構は「ハノーバーメッセ(Hannover Messe)2023」(2023年4月17〜21日:ドイツ時間、ハノーバー国際見本市場)に長野県パビリオンを設置し、県内の中小企業4社を出展した。
長野県産業振興機構としてハノーバーメッセに長野県パビリオンを設けるのは初めて。また、日本の自治体規模の組織としてはハノーバーメッセ2023での唯一の出展となった。製造業が盛んな長野県は自動車産業とも関わりが深い。EV(電気自動車)化などにより従来の自動車産業が大きな転換期を迎える中で、県内の中小企業の新たな市場開拓などを支援するため応募を募って出展した。
ナカムラマジック(長野県箕輪町)は独自のオーラフィン工法を用いて製作した「マジックヒートシンク」のIGBT用液冷ヒートシンクと、パワー半導体用セラミック基板一体型ヒートシンクなどを展示した。オーロラフィン工法とは、アルミや銅の板に薄く切り込みを入れ、それを立ててフィン形状にすることで放熱性能を高め、ヒートシンクの小型軽量化が可能になる。今回は「EVなど海外の自動車産業への参入を図るため」(ナカムラマジック 営業課 係長の関智昭氏)に出展した。
ゴコー電工(長野県富士見町)は巻き線の占積率を高めたeVTOL(電動垂直離着陸機)やドローン向け空冷式モーターの試作品などを展示した。同社では巻き線仕様に改良を加え、職人の手作業で巻き線することで機械では実現できない密度を実現した。ゴコー電工 代表取締役の相場はるか氏は「航空産業や自動車産業が進んでいる欧州でどんな需要があるか、市場調査も含めて反応を見たいと考えて出展した。来場者のニーズを聞き、他社の展示も見て、日本に戻ってから次のアクションにつなげたい」と話す。
英幸テクノ(長野県諏訪市)は「海外の顧客開拓のため」(英幸テクノ 取締役 技術担当の安川朋昭氏)に出展。窓ガラスや壁などで反射しやすい5Gなどの高周波電波の屋内電波強度を改善する「ナミゲート」を出品した。5Gなどの屋内の電波強度対策としては増幅器や特殊な加工を施したガラスがあるが、ナミゲートは窓ガラスの片面に貼るだけで電波の波の位相を制御し、反射を防いで窓ガラスを透過させることができる。窓ガラス全体を覆う必要はなく、電気も消費しない。材質は非金属の誘電体物質なら何でも使うことができる。国内では通信事業者や住宅、素材メーカーと製品開発を進めているという。
プロノハーツ(長野県塩尻市)は製造業向けVR(仮想現実)デザインレビューシステム「pronoDR」を紹介した。pronoDRは製造業向けに開発されたVRソフトウェアで、3DCADデータを1クリックでVR化できる。ブースでは仮想モデルとの衝突時に振動を与えてフィードバックする新たなオプションも展示した。「来場者の反応は良い。ドイツだけでなく周辺国からの来場者にもPRできた」(プロノハーツ 代表取締役 藤森匡康氏)
長野県産業振興機構としては今後、EVに特化したドイツの展示会への出展も計画しており、長期的に県内企業の海外での販路開拓を支援する。
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