検索
ニュース

模型を動かしながらデジタルツインやVRで都市計画を検討できる市民参加型ツールVRニュース(2/2 ページ)

インフォ・ラウンジ、サイバネットシステム、山手総合計画研究所は、3社で共同開発したXR技術を用いた体感型アーバンプランニング(都市設計)ツール「Tangible Interface XR」の報道陣向け体験会を開催した。

Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

実証実験の成果を基にさらにブラッシュアップ

 実証実験では、横浜市の市庁舎が2020年に関内駅前から馬車道駅へ移転した後、人の動線が大きく変化したことを踏まえ、これまで人通りの少なかった新市庁舎周辺の大岡川沿いの街区を対象として選定し、デジタルツイン上に3D景観を構築。そして、Tangible Interface XRの活用を通じて、都市設計における一般市民を交えたコミュニケーションの活性化や、より高度なプランニング、合意形成の実現可能性を検証した。

新市庁舎周辺(馬車道)の大岡川沿いの街区を対象に「Tangible Interface XR」を活用した検討が行われた
新市庁舎周辺(馬車道)の大岡川沿いの街区を対象に「Tangible Interface XR」を活用した検討が行われた[クリックで拡大]

 Tangible Interface XRを活用したPLATEAU YOKOHAMAプロジェクトの実証実験では、インフォ・ラウンジが企画、全体統括およびWebシステムの開発を、サイバネットシステムがVR関連技術の開発を、山手総合計画研究所が設計/製造およびワークショップの企画実施を担当した。その他、ワークショップの実施協力としてCode for YOKOHAMAが、監修として横浜市デジタルデザイン室および横浜市都市デザイン室が同プロジェクトに参加している。

「Tangible Interface XR」の仕組みについて/システム全体構成
「Tangible Interface XR」の仕組みについて/システム全体構成[クリックで拡大] 出所:サイバネットシステム、インフォ・ラウンジ、山手総合計画研究所
VRコンテンツの製作過程タンジブルユーザーインタフェースソフトの製作過程CGモデルの製作過程 (左)VRコンテンツ/(中央)タンジブルユーザーインタフェースソフト/(右)CGモデルの製作過程のイメージ[クリックで拡大] 出所:サイバネットシステム、インフォ・ラウンジ、山手総合計画研究所

 同プロジェクトでは、街の中で「居心地の良い場所」「危険に感じる場所」「眺めが良い場所」といった感性情報や、「道路陥没」「工事中」といった他人と共有することで役立つ情報などをタグ(テキストや画像)として3D空間にマッピングできるスマートフォン用AR(拡張現実)アプリケーションを開発。併せて、ARアプリケーションから取得したタグ情報やその他の情報を共有できるVRアプリケーションとして、タンジブルユーザーインタフェース技術を用いたTangible Interface XRを開発した。

「Tangible Interface XR」の仕組みについて/VR:システムアーキテクチャ全体図
「Tangible Interface XR」の仕組みについて/VR:システムアーキテクチャ全体図[クリックで拡大] 出所:サイバネットシステム、インフォ・ラウンジ、山手総合計画研究所

 そして、これらアプリケーションをワークショップで活用。今回の実証実験では、ARタグ付けアプリケーションを用いて、参加した市民から対象エリアに関する印象やアイデアを収集する「ARセッション」、ARセッションで得られた内容を精査して街づくりの方向性を示す「行政セッション」、行政セッションで示された方向性に基づき、Tangible Interface XRを用いて参加者が思い描く街の姿を検討、議論する「タンジブルセッション」の3つのセッションからなる一連のワークショップを実施した。

 Tangible Interface XRの活用により、タンジブルユーザーインタフェース化された建物模型や、ベンチやウッドデッキ、街路樹、自転車置き場などのタンジブルオブジェクトを実際に動かしながらデジタルツイン上の3D景観に反映でき、それを見ながら検討や議論が行えるようになるため、「一般市民をはじめとする専門知識を持たない多様な立場の人たちでも都市設計に積極的に参加可能となり、率直な意見や感想を引き出す効果が期待できる」(説明員)とする。

タンジブルオブジェクト(1)タンジブルオブジェクト(2)タンジブルオブジェクト(3) あらかじめ用意されたタンジブルオブジェクト。その多くがFDM(熱溶解積層)方式3Dプリンタで造形されていた[クリックで拡大]

 同プロジェクトは、今回の実証実験の成果を踏まえ、都市設計のプロセスにおける市民参加手法の確立につなげていくことを目指す。また、Tangible Interface XRの開発に関しても「現状はサイズも大きく可搬性に課題があるため、『Raspberry Pi』やクラウドなどを活用しながら、システムとしてよりコンパクトな構成にしていきたい。将来的にはビジネス化も視野にシステムのブラッシュアップを図っていく計画だ」(説明員)という。

⇒ その他の「VR/AR/MR」関連ニュースはこちら

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る