クラウドで簡単に安全管理や空質管理が行える物理セキュリティ、日本展開を本格化:製造マネジメントニュース
物理セキュリティプラットフォームを提供する米国のVerkada(ヴェルカダ)は、東京に新オフィスを開設し日本で本格展開を開始する方針を示した。
監視カメラシステムなど物理セキュリティプラットフォームを提供する米国のVerkada(ヴェルカダ)は2023年4月18日、東京に新オフィスを開設し日本で本格展開を開始する方針を示した。東京オフィスはVerkadaによるAPAC(アジア太平洋)地域の3番目のオフィスとなる。
使いやすさとスマート機能、拡張性が特徴
Verkadaは2016年の設立で急成長を遂げる物理セキュリティ企業である。現在は全世界で14拠点を構え、従業員数は1600人、顧客数は1万5700社を抱えている。米国を中心に大きな成長を続けてきたことから、ここ数年は米国外の進出を強化しており、その一環として新たに東京オフィスの設立も決めたという。Verkadaの共同創業者でCEOのFilip Kaliszan(フィリップ・カリザン)氏は「日本に進出を決めたのには3つの理由がある。1つ目は日本が成長が期待できる市場であるという点、2つ目がテクノロジーが文化の一部となっているという点、3つ目が私自身の経験として良い製品の多くが日本製で親しみがあったという点だ」と述べている。
Verkadaはもともとはソフトウェアドリブンのビデオセキュリティシステムの構築を目指してきたが、現在は根幹となるソフトウェアベースのプラットフォームを核としながら、カメラやアラーム、インターフォン、訪問者管理、アクセスコントロール、メールルーム管理、空気質センサーなどさまざまなポートフォリオを用意し、事業を展開している。これらをクラウドベースでつなぎながら、高い操作性や柔軟な拡張性のあるシステムを構築できる点が特徴だ。
従来の監視カメラなどの物理セキュリティソリューションは、それぞれのシステムが独立しており、取り回しが大変で、保守や規模拡張が難しく、それでいて高額になる状況が生まれていた。しかし、Verkadaではクラウドとソフトウェアベースのシステム構成を中心にこれらの柔軟性と拡張性を高めていることが特徴だ。また、既存のカメラや設備と組み合わせた形でVerkadaのシステムを一部だけ使うようなことも可能だ。
Verkada Japanのカントリーマネジャーを務める山移雄悟氏は「Verkadaが選ばれる理由として、管理にオンプレミスサーバが不必要であったりさまざまなデバイスからリモートアクセスできたりする使いやすさが大きな特徴となっている。加えて、AIベースのビデオ分析機能や自動イベントアラートなどのスマート機能や、クラウドアーカイブやカメラ、ユーザー数の制限台数がない点なども高い評価につながっている」と魅力について語る。
製造業でも安全管理や空気質管理、勤怠管理などで活用
Verkadaでは従来国内では、高千穂交易と2021年11月からパートナーシップを結んでビジネス展開をしてきたが新たに2023年4月18日、ダイワボウ情報システムとのパートナーシップも開始。新設した東京オフィスとの連携で、さまざまな領域で物理セキュリティソリューションの提案を強化する方針だ。山移氏は「パートナーの営業やマーケティング活用の支援を進めるとともに、日本のユーザーの声を受け製品開発にフィードバックしていくことに積極的に取り組んでいきたい」と語っている。
製造業向けでもグローバルでは多くの導入事例を持つ。例えば、産業用調味料メーカーであるCarolina Ingredientsでは、生産拠点の物理セキュリティソリューションとして、Verkadaのカメラ、センサー、アラームを活用しているという。その他「例えば、工場での従業員の安全管理のために『ヘルメットをかぶっているか』などをカメラを通じて確認しているケースがある。また、エリアごとの有害物質の空気質管理や、勤怠管理システムと組み合わせた工場の入退室管理などで使用しているケースもある」とカリザン氏は紹介した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「守り」から「攻め」に変化する監視カメラ、その展望と課題
監視カメラはネットワーク対応によって、その役割は単純な監視用途から「映像によるセンシングデバイス」「IoTにおけるエンドデバイス」に姿を変えつつある。その際に浮上する課題とは何か。 - 工場のリモート対応は2022年も加速、映像活用拡大もネットワーク環境が課題に
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)以降、多くの業務のリモート化が進められてきたが、これまで「現地現物現実」が基本として徹底されてきた製造現場でも部分的にリモート対応を取り入れる動きが広がってきた。2022年はこうした仕組みの整備が進み、さらにより広く取り入れられる見込みだ。 - キヤノンがネットワークカメラ世界最大手を買収――監視カメラ事業を拡大へ
キヤノンは、ネットワークカメラで世界最大手となるスウェーデンのアクシスを買収する方針を固めた。約3337億円の買収資金により、発行済みの全株式を対象とした公開買付け(TOB)を行う。 - 見えてきたスマート工場化の正解例、少しだけ(そもそも編)
製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。本連載では、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについて、話題になったトピックなどに応じて解説します。第28回となる今回は、スマート工場化において見えてきた正解例について前提となる話を少しだけまとめてみます。 - 画像処理でできること
製造現場における画像処理技術とは何か? その特徴や導入時のポイントなどをきちんと理解し、生産性向上に役立てていきましょう。連載第2回のテーマは「画像処理でできること」です。画像処理の利用が最も盛んな工場での製造工程を例に、「GIGI」というキーワードに沿って解説していきます。 - 中国監視カメラ大手が日本進出2周年、スマート駐車場サービスなど展開
中国の監視カメラ大手Dahua Technologyの日本法人Dahua Technology Japanが設立2周年を迎え、2022年10月25日、東京都内でメディア向けに事業説明会を開催した。会場では、同社が得意とする監視カメラを使った駐車場や小売店向けのソリューションをアピールした。