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キヤノンがネットワークカメラ世界最大手を買収――監視カメラ事業を拡大へ製造マネジメントニュース

キヤノンは、ネットワークカメラで世界最大手となるスウェーデンのアクシスを買収する方針を固めた。約3337億円の買収資金により、発行済みの全株式を対象とした公開買付け(TOB)を行う。

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 キヤノンは2015年2月10日、スウェーデンのアクシス(Axis)の発行済普通株式の全株を対象とした公開買付け(TOB)を実施することを発表した。これにより、キヤノンはアクシスの発行済普通株式の100%を取得し、連結子会社化を目指す。

 今回の買収は友好的買収となり、既にアクシス創業者を含む上位3株主には同意を得ているという。買付け予定株式数は6946万1250株で1株当たりの買付け価格は340スウェーデンクローネ。今回の買収で用意した資金は約236億スウェーデンクローネ(約3337億円)になるという。また買収完了後もアクシスは独自の経営や製品ブランドを維持するとしている。

 アクシスはネットワーク監視カメラシステムの世界最大手で、監視カメラ市場においてアナログからデジタルへの移行の先鞭を付けた企業。オープンテクノロジーを有効活用しつつ映像処理技術を標準化して半導体に組み込む技術力により、高性能な製品からリーズナブルな製品まで幅広い製品群を展開している。これらの技術力とともにグローバルで7万5000社にも及ぶパートナーネットワーク網を構築しており、ネットワーク監視カメラで大きな世界シェアを獲得している。

 一方のキヤノンは「グローバル多角化による新たな事業の獲得」を掲げ、光学およびイメージング技術を核にさまざまな事業への参入を進めている。医療領域の拡大の他、産業用カメラやマシンビジョン市場への参入を発表(関連記事:キヤノンが狙う“産業の目”、カメラや事務機で培った技術力を製造ラインへ)するなど、事業領域の拡大に取り組んでいる。

キヤノンの光学技術+アクシスのネットワーク映像技術の相乗効果

 キヤノンにとって監視カメラ事業は新規事業ではなく、既に多くの製品群を展開している。ただ、従来はどちらかというと高い光学技術などを生かした高付加価値製品を主力としており、グローバルで市場が急増している低価格ゾーンでは存在感は小さかった。

 アクシスを買収することで低価格帯へのアプローチが可能となる他、さまざまな相乗効果が期待できる。技術面では、光学技術やイメージング技術に強みを持つキヤノンと、ネットワーク映像技術およびソフトウェア技術に強みを持つアクシスとでは、補完的な関係となり「先進的で高性能なネットワークビデオソリューションの提供が可能となる」(キヤノン)としている。

 またこれらの異なる領域で強みを持つため、知的財産分野においても相互での知財活用の他、ポートフォリオ強化につながるという。さらに、キヤノンが持つカメラや事務機の販売・サービス網とアクシスが持つシステムインテグレーターを中心としたパートナー網を組み合わせることで従来以上の販売・サービス体制を構築することができるとしている。

 キヤノンは「技術面でも販売面でもまさにそれぞれの強みと弱みが組み合わさった補完的な関係だ」(広報部)とコメントしている。

 監視カメラ市場は全世界で大きな成長が見込まれており、特にアナログからデジタルへの移行が急速に進んでいる。富士経済によると、2014年の国内市場は前年比約8%増の396億円(見込み)。2017年には504億円まで成長すると予測されている。さらにその中で、IPカメラの伸びは目覚ましく、2014年には57.8%だったIPカメラの比率は2017年には77.4%に高まると見られている。用途の拡大も顕著で、タウンセキュリティなどの他、工場のライン監視などの用途も拡大する見込みだ。

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