キヤノンが産業用カメラ市場に参入――デジタル一眼レフのCMOSセンサーを応用:FAニュース
キヤノンは、デジタル一眼レフカメラでも使用している独自のCMOSセンサー技術を応用した検査装置用の静止画像入力カメラを発売。新製品により検査工程向けの産業用カメラ市場に参入する。
キヤノンは2014年3月19日、デジタル一眼レフカメラでも使用している独自のCMOSセンサー技術を応用した検査装置用の静止画像入力カメラ「M15P-CL」を発売した。新製品により検査工程向けの産業用カメラ市場に参入する。
検査装置用の産業用カメラの全世界市場は2013年に約180億円と推定されている。従来は100万画素や200万画素の低画素による検査用カメラが主流だったが、1000万画素以上の多画素向けの市場が徐々に拡大している。そのため「デジタル一眼レフカメラなどで培った多画素・高感度などのCMOSセンサーのノウハウを生かすことができる市場環境となったため参入に踏み切った」(キヤノン広報部)という。
新製品は、デジタル一眼レフカメラ「EOSシリーズ」で使われている高感度CMOSセンサーを産業向けにアレンジしたもの。約1500万画素でAPS-Cサイズ※)の白黒CMOSセンサーを搭載している。キヤノン独自のノイズ除去・抑制技術を採用し、感度を上げてもノイズ増幅を最小限に抑制。広ダイナミックレンジで低ノイズを達成し、高コントラストでの検査を可能としているという。
※)横22〜23mm、縦が15mm程度の撮像素子サイズ。
感度の設定は、ノイズの増幅を最小限に抑えるアナログゲイン(1〜16倍)と、デジタルゲイン(1〜16倍)により、ゲイン256倍まで感度を向上させることができる。また検知する輝度の下限値と上限値を設定し、微細なキズや異物などわずかな輝度の差をより鮮明に映し出すことが可能な「コントラスト強調機能」も備えている。
全画素の領域から最大8カ所の被写体領域を切り出して読み出す「複数部分領域切り出し機能」により、データ量を削減し、同時処理能力を向上することもできる。その他、複数画素を加算および加算平均する「ビニング機能」や、画素を間引きして読み出す「垂直サブサンプリング機能」などの多彩な画像処理機能を搭載している。画像の出力については、産業用カメラ市場に広く普及している規格「Camera Link」に対応している。
価格はオープンだが、想定価格は80万円前後。月間50台の販売を目指すという。販売先は産業用機器メーカーやシステムインテグレーターなどを想定している。
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