自動車部品の突起検出ツールの独自技術で特許取得、12時間の検査が5分に:メカ設計ニュース
ニュートラルは自動車部品の突起検出ツール「NTech Protrusion Checker」の独自アルゴリズムが2023年3月29日に特許権を取得したことを発表した。
ニュートラルは2023年4月11日、自動車部品の突起検出ツール「NTech Protrusion Checker」の独自アルゴリズムが同年3月29日に特許権(※注1)を取得したことを発表した。
注1:特許番号「特許第7253200号」、発明の名称「三次元CAD用突起解析システム、三次元CAD用突起解析方法及びコンピュータプログラム」
NTech Protrusion Checkerは、自動車部品の安全基準に満たない形状を設計段階の3Dデータから算出できる突起検出ツールである。
道路運送車両法では「自動車の外装表面に曲率半径が2.5mm未満の突起を有してはならない」との定めがあり、多くの製造現場で突起物測定の検査を手作業で行っている現状がある。検査時間は最大で12時間程度かかることもあり、人手作業のため検査精度の品質やバラツキなども課題となっていた。万一、試作後に不備が発覚すれば、手戻りや再作製に膨大なコストが発生する恐れもある。
NTech Protrusion Checkerに用いられるニュートラル独自のアルゴリズムは、設計段階の3Dデータの曲面を点群に変換し座標値から突起を算出することにより、検査時間を5〜15分程度に大幅短縮できる。突起の曲率半径の算出は、周辺点群を基にガウス曲率と平均曲率を推定することで誤差を抑え、高精度な検出を実現する。
これにより、算出が困難だった不連続面や人の頭部を想定した球体接触(多点接触)も測定可能となり、凹凸が複雑なモデルも細密に検出できる。NTech Protrusion Checkerの活用により、開発期間の大幅な短縮と生産性向上に貢献する。
NTech Protrusion Checkerは、現在、国内の自動車関連企業(ボディーメーカー)などで採用が進んでいる。ツールのパラメーターを変更することにより、高い安全性が求められるさまざまな製品開発へ応用することが可能で、バイクや自転車の他、玩具におけるST(安全玩具)基準の検査工数削減などにも貢献できるとする。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 自動車部品の3Dデータから危険な形状を自動検出、手戻りや金型修正リスクを軽減
エリジオンは自動車の3D CADデータから安全基準に満たない危険な部品形状を自動検出するソフトウェア「DFAS Studio」を発表した。 - タムロンが類似形状検索システムを導入、CAE精度向上と工数削減に向けて
スマートスケープは、類似形状検索システム「SS4M」を総合光学機器メーカーのタムロンが導入したと発表した。年間140時間かかっていた類似形状検索を約47時間に短縮し、検索精度の向上にもつながっている。 - AIによる3次元形状の認識、検索技術のアルゴリズムに関する特許を取得
アストライアーソフトウエアは、AIを用いて3次元形状の認識と検索を可能にする技術のアルゴリズムに関する特許を取得した。3D CADやVR、メタバースなどで活用される膨大な3Dデータの中から、類似形状の検索が可能になる。 - AIを活用した類似形状検索システムの導入で製品開発スピードを向上
スマートスケープは、同社の類似形状検索システム「SS4M」をニコンが導入したと発表した。SS4Mを用いた類似部品検索により、ニコンは製品開発スピードの向上とコストの削減を目指す。 - 3D形状認識、3D形状類推AIモデルを搭載した製造業設計支援ツール
アストライアーソフトウエアは、3D形状認識、3D形状類推AIモデルを搭載した製造業設計支援ツール「Aries」を発表した。現場で蓄積された3D CADデータや3Dスキャンデータを3次元形状AIで管理、活用できるため、生産性向上やDX推進に役立つ。 - 2D図面と3D形状モデルを検索できる、類似図面検索ソフトウェアを発売
日立ソリューションズは、3D形状モデルを検索できる、最新版の「類似図面検索AIソフトウェア」を発売した。独自開発の面深度画像方式により、2D図面と同様に、3D形状モデルデータも検索可能になった。