AIを活用した類似形状検索システムの導入で製品開発スピードを向上:メカ設計ニュース
スマートスケープは、同社の類似形状検索システム「SS4M」をニコンが導入したと発表した。SS4Mを用いた類似部品検索により、ニコンは製品開発スピードの向上とコストの削減を目指す。
スマートスケープは2022年6月14日、同社の類似形状検索システム「SS4M」をニコンが導入したと発表した。ニコンはSS4Mにより、製品開発スピードの向上とコストの削減を目指す。
SS4Mは、AI(人工知能)を活用した類似形状検索システムで、過去の3D CADファイル群から自動で類似形状データベースを作成する。10種類以上の3D CADデータに対応するため、社内で容易に展開できる。学習作業も容易でデータの更新、蓄積による負担が少ない。
部品の形状に関係なく類似部品を高精度に検索できる他、操作や表示がスムーズで部品を探しやすい。また、CADから自動で抽出できる属性情報や、ユーザーが追加する属性情報を用いたフィルタリングに対応する。検索結果の3D形状は、SS4M内で確認できる。
製品の設計時間を短縮し、無駄なコストを削減するには、既存部品を新製品に実装する「共通化設計」が重要だ。ニコンでは、カメラ用交換レンズの開発において、設計者の経験により共通化部品を探す時間や精度に差がある、コストを含めた部品構成の最適化に時間がかかる、コストの算出に他部署の協力を要する、といった課題を抱えていた。
ニコンは、SS4Mの類似部品検索を活用して、設計者の経験に依存せずに、設計部署内だけで短時間かつ高精度に性能、コストを最適化することを目指している。今後は、SS4Mを用いて類似品検索するAPIを活用したシステムを構築。これにより、導入前と比較して、部品構成を最適化する作業工数が50〜75%削減する見込みだ。
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