自動車部品の3Dデータから危険な形状を自動検出、手戻りや金型修正リスクを軽減:メカ設計ニュース
エリジオンは自動車の3D CADデータから安全基準に満たない危険な部品形状を自動検出するソフトウェア「DFAS Studio」を発表した。
エリジオンは2023年2月8日、3D CADソフトウェアで作成された自動車の設計データから、国際的な安全基準に満たない突起などの形状を自動検出するソフトウェア「DFAS Studio」を発表した。
自動車部品を設計する場合、人の身体などに接触する部分の形状はケガをしないように国際的な安全基準を満たす必要がある。この基準を満たしているかどうかを設計段階で適切に確認する必要があるが、万一漏れが発生してしまうと手戻りにつながり、開発期間の遅延が生じてしまう。さらに、試作後の段階で交通安全環境研究所などの公的機関や社内の品質管理部門から不備を指摘されれば、金型の作り直しなどによって、数億円規模のコストが発生する可能性もある。
DFAS Studioの「DFAS」は“Design for Automotive Safety”の略で、膨大な部品で組み上げられている自動車の3Dデータの中から、ケガにつながる可能性のある鋭い突起形状や膝がはまり込んでしまうような部分などを、安全基準に基づいて漏れなく検出してくれる。また、従来は人の経験や感覚が検証結果の精度に影響していたが、ソフトウェアによる自動化によって、高精度かつ安定した検証を可能にする。
DFAS Studioによって検出された該当箇所は、ハイライト表示やリスト(一覧)を用いたレポートとして出力されるため、誰でも手軽に結果を確認でき、情報伝達や共有がスムーズに行えるという。
DFAS Studioには、国際的な安全基準に基づいたチェック項目があらかじめ設定されており、導入後すぐに利用できる。併せて、企業ごとに定められた独自の検証項目を追加したり、パラメーターをカスタマイズしたりすることも可能だ。このように、企業が長年培ったノウハウをDFAS Studioに組み込むことで、ベテラン技術者がいない場合でも設計品質を保つ体制を構築できる。
なお、DFAS Studioに用いられている3Dデータから特定の形状を検出して安全性を確認する手法は、同社の3D形状認識技術をベースにしており、例えば、玩具のST(Safety Toy)基準への適合検査など、自動車以外のあらゆる産業にも応用可能だとする。
今後、エリジオンはDFX(Design for Excellence/ある目的に沿った設計を効率的に行う手法の総称)を新たな事業領域として捉え、独自の3D形状認識技術を応用した製品を提供していく。既に、同社は製造性考慮設計(DFM:Design for Manufacturability)を実現するためのソフトウェアとして「DFM Studio」を発売しており、今回のDFAS StudioはDFX関連製品の第2弾に位置付けられている。
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