日本自動車工業会(自工会)は2023年4月11日、小型/軽商用車の市場動向調査の結果を発表した。調査は従業員5人以上の事業所、小型/軽商用車を保有するユーザー(個人と法人)、個人の軽貨物輸送業者を対象に実施した。
小型/軽商用車の保有台数は、小型トラックや軽ボンネットバンは減少傾向だが全体としては1207万台に増加した。保有台数を増やす事業所よりも、減らす事業所の方が多い。
小型/軽商用車の販売台数としては2020年以降大きく減少している。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響に加えて、原材料価格や燃料価格の上昇で経営状態が悪化したことが要因だ。その対策として、保有台数を見直したり買い替えを延期したりする事業所が増加した。小型商用車から軽商用車へのダウンサイジングの進行や、軽商用車から軽商用車への乗り換えが引き続き堅調であることから軽商用車の販売が増加している。
使用実態をみると、仕事利用の行動半径はいずれの車種も「10km以内」が増加しており、1カ月の平均走行距離も短くなっている。仕事での運行形態はいずれの車種でも「往復型」が最多だったが、運輸業の小型トラックは「巡回型」が増加した。Eコマースの拡大によって、少量/軽量/近距離の輸送業務がこの2年間で増えている。
私用利用で多いのは、小型/軽トラックが「園芸・農作業」、小型バンは「通勤通学」、軽キャブ/ボンネットバンは「日用品の買い物」だ。1カ月の平均走行距離は仕事利用よりも短い。
環境意識の高まりや燃料の価格高騰を受けて、小型/軽商用車でもエコカーの導入意向が増加している。EV(電気自動車)を導入する場合の車種については、事業所を対象とした調査では軽トラックが、ユーザー調査では軽バンが最も人気だった。車両価格や充電設備、バッテリー、満充電からの走行距離などに懸念を感じることが分かったが、事業所の調査では満充電からの走行距離に対する不安が和らいだ。
安全技術に関しては8割の事業所が関心を示しており、運輸業では購入時に重視するという回答が増加した。「衝突被害軽減ブレーキ」「歩行者の検知/保護支援システム」「誤発進防止システム」は有償での装着意向が高い。自動運転技術への期待も高まっていることが分かった。
ドライバー不足の現状についても尋ねた。運輸業ではドライバー不足で困窮しているとの回答が半数を占める。60代以上の男性ドライバーの採用率が最も高いが、運転操作や荷役作業への懸念が指摘されている。採用ニーズが高いのは30〜50代の男性ドライバーで、「給与水準の引き上げ」「未経験者育成の教育の充実」などが対策として検討されている。
調査に答えた農家のうち、4割弱が事業規模の縮小や廃業を予定している。そのうち3割弱が商用車の保有を減らすか、保有をやめる考えだ。主な運転者が50代以下の農家では、規模拡大の意向もみられた。
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