軽商用EVを2023年度に市場導入、スズキダイハツトヨタで共同開発:電動化
Commercial Japan Partnership Technologies(CJPT)は2022年7月19日、商用バンタイプの軽EV(電気自動車)と小型トラックタイプのFCV(燃料電池車)の開発を発表した。軽商用バンEVは2023年度に、小型トラックFCVは2023年1月以降に市場導入を目指す。
Commercial Japan Partnership Technologies(CJPT)は2022年7月19日、商用バンタイプの軽EV(電気自動車)と小型トラックタイプのFCV(燃料電池車)の開発を発表した。軽商用バンEVは2023年度に、小型トラックFCVは2023年1月以降に市場導入を目指す。
軽商用バンEVは、スズキ、ダイハツ工業、トヨタ自動車、CJPTで取り組む。開発はスズキ、ダイハツ、トヨタの3社で共同開発し、CJPTは企画に参加する。福島県と東京都で社会実装プロジェクトを実施し、パートナー企業に活用してもらう。
軽商用車は商用車全体の保有台数の60%を占めており、電動化が進めばカーボンニュートラル実現への貢献度が大きい。ただ、電動化に伴う車両価格の上昇や充電インフラのコスト、充電によるダウンタイムなどの負担が課題となっている。4社で協力し、使い方に応じた買いやすい軽商用バンEVを市場導入するとしている。
小型トラックFCVは、CJPTが企画し、いすゞ自動車と日野自動車が持つトラックの技術と、トヨタ自動車の燃料電池(FC)の技術を組み合わせて開発する。軽商用バンEVと同様に福島県と東京都における社会実装プロジェクトを通じて、パートナー企業の物流現場で活用してもらう。福島県いわき市、同郡山市に60台を導入する。
小型トラックはスーパーマーケットやコンビニエンスストアでの物流に使われることが多く、冷蔵・冷凍への対応や1日に複数回の配送業務、短時間での燃料供給などの条件を満たす必要があるという。
小型トラックFCVは既に企業での走行実証にも進んでいる。ファミリーマートはトヨタ自動車といすゞ自動車が開発した小型トラックFCVを、ローソンはトヨタと日野自動車が共同開発した車両を導入した。
CJPTはトヨタ、いすゞ、日野、スズキ、ダイハツによる共同出資会社で、商用車向けの電動化や環境技術、自動運転、シェアリング、コネクテッドサービスなどを企画する。大型商用車向けには、デンソーも参加して水素エンジンの企画と基礎研究を行っている。
福島県と東京都で実施する社会実装プロジェクト
福島県と東京都で実施する社会実装プロジェクトでは、電動車の導入だけでなく、運行管理と一体のエネルギーマネジメントにも取り組む。期間は2023年1月から2029年度末まで。福島県、東京都の他、東北ー関東ー関西の幹線輸送も対象に、合計580台の電動商用車を活用する。大型トラックはFCV、小型トラックはFCVとEV、軽商用バンはEVを導入する。
運行管理と連携して、電池や水素の残量と充電/水素充填のタイミングを考慮した配送計画の最適化を進め、ダウンタイムを短縮する。また、配送計画や建屋の電力を考慮した充電により、電力需要の平準化も図る。
再生可能エネルギーや水素を活用した工場/店舗のカーボンニュートラル化にも取り組む。デンソーの福島工場をモデルに、水電解装置で製造したクリーンな水素を自家消費する水素の地産地消の体制を構築する。定置型の燃料電池発電機も設置する。
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