5Gを活用し、救急現場の映像伝送とデジタル聴診器による遠隔診療の実証に成功:医療機器ニュース
NTTコミュニケーションズは、愛知県刈谷市において、5Gを活用して救急現場の映像と患者の心電図を病院に伝送するフィールド実証と、デジタル聴診器を活用した遠隔診療のフィールド実証に成功した。
NTTコミュニケーションズは2023年3月22日、愛知県刈谷市において、5Gを活用した救急現場の映像および心電図のリアルタイム伝送に関する実証に成功したと発表した。愛知県による「スマートシティモデル事業」の「刈谷スマートウェルネスプロジェクト」の一環として同社が受託し、刈谷市の協力のもとで実施した。
今回の事業では、2022年11月1日〜2023年1月31日に、刈谷豊田総合病院と系列病院の訪問看護ステーションなどにおいて、2つのフィールド実証に取り組んだ。
1つ目は、救急現場の映像を病院に伝送する実証となる。ドクターカーに乗車する医師と運転手が現場の状況や患者の病状をスマートフォンで撮影し、5Gを活用して病院へリアルタイムで伝送。ICUと救急外来の医師が映像と心電図を確認し、音声で治療方針を指示した。
映像による病状伝達は多くの情報が得られるため、病院と現場間で治療方針を共有し、病院での治療準備も早期化できた。なお、5GエリアとLTEエリアをまたいでも、問題なく映像は伝送できた。
2つ目は、スマートデバイスを活用した遠隔診療の実証だ。看護師がデジタル聴診器で計測した心音や呼吸を、タブレットのブラウザから遠隔診断システムを活用し、患者宅から病院の医師に伝送した。
心音や呼吸をPC越しに医師が確認して診察した結果、訪問診察と同等の精度で診察できることを確認できた。デジタル聴診の映像と音声は録画されるため、リアルタイムでの医師の診察が難しい場合でも、患者の状態を共有できる。
これらの実証結果を踏まえ、救急現場におけるリアルイム映像伝送については、導入準備が進められている。また、遠隔診療に関しては、実現可能性について引き続き検討するとしている。
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