再生医療向けの細胞培養に活用できる、可溶性マイクロキャリアを開発:医療機器ニュース
大日本印刷とHyperion Drug Discoveryは、細胞培養で足場剤として用いる、可溶性の「微小粒子(マイクロキャリア)」を開発した。従来のシャーレなどによる培養に比べ、培養スペースと使用する培養液の量を75%削減できる。
大日本印刷は2023年3月16日、Hyperion Drug Discoveryと共同で、細胞培養で足場剤として用いる、可溶性の「微小粒子(マイクロキャリア)」を開発したと発表した。再生医療やエクソソーム、バイオ医薬品、培養肉などの細胞培養工程で利用できる。
両社が開発したマイクロキャリアは、培養液中で細胞をその表面に接着させることで、3次元的に培養する(3次元浮遊培養)ための素材となる。シャーレなどの表面を改変して細胞を培養する従来の2次元的培養に比べ、培養スペースと使用する培養液の量を75%削減できる。
安全性を高めるため、主な素材として生体適合性が高い藻類由来のアルギン酸ナトリウムの可溶性ゲルを使用。これまでの不溶性ポリマー製マイクロキャリアと異なり、培養中にマイクロキャリア同士が衝突しても、不溶性の微小破片が発生しない。
また、培養細胞へのダメージが少なく、簡単に細胞を回収できるよう、一般的に再生医療で用いられる剥離剤でマイクロキャリアを溶解し、培養細胞のみを分離する。
同マイクロキャリアは、再生医療等製品の材料としての適格性をPMDA(医薬品医療機器総合機構)により確認された。両社は、マイクロキャリアをコア技術とした細胞培養の効率化に関する共同開発契約を締結し、さらなる技術、製品、サービスの開発に取り組む。
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