他家T細胞療法の普及に向けて細胞自動培養装置の共同開発を開始:医療機器ニュース
日立製作所、京都大学、リバーセルは、他家T細胞療法の普及に向けて、細胞自動培養装置を開発するための共同研究契約を締結した。細胞自動培養装置を用いて、多能性幹細胞から再生キラーT細胞を製造する技術開発の研究を開始した。
日立製作所は2023年3月14日、京都大学、リバーセルと、他家T細胞療法の普及に向けた細胞自動培養装置開発のための共同研究契約を、同年1月6日に締結したと発表した。細胞自動培養装置を用いて、多能性幹細胞から再生キラーT細胞を製造する技術開発の研究に着手した。
他家T細胞療法とは、iPS細胞やES細胞など、他人由来の多能性幹細胞を材料として、T細胞を再生した細胞製剤を利用する療法だ。がんなどの治療に有効とされている。
今回の共同研究では、日立製作所の細胞自動培養装置に、他家T細胞を大量製造する機能を付加することを目的とする。
日立製作所は、2017年に研究用のiPS細胞自動培養装置を開発。2019年3月には、再生医療等製品の商用製造が可能な細胞自動培養装置「iACE2」を製品化した。また同年11月に、3次元培養法の自動化にも成功している。
京都大学は、これまでに他家T細胞療法に必須となる多くの特許を取得している。京都大学発のバイオベンチャー企業であるリバーセルは、その特許技術の全世界サブライセンス付独占実施権を保有している。
他家細胞療法は、患者自身の細胞を用いる自家細胞療法に比べて汎用性に優れ、より多くの患者に使用できる。3者の協働により、細胞を一定品質で大量に供給できる自動培養技術の開発を進め、安定した他家細胞製剤の供給を目指すとしている。
*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 日常的な外部刺激で、肌の潤いに必要な結合型セラミドが減少
大正製薬は、ヒト三次元培養表皮を用いて、結合型セラミド量と肌バリア機能の評価系を構築した。これを用いて、肌の潤いに必須な結合型セラミドが、紫外線など肌が日常的に受ける外部刺激によって減少することを明らかにした。 - ヒト常在性ビフィズス菌が消化管粘液のムチンを分解する機構を解明
京都大学は、ヒト常在性ビフィズス菌Bifidobacterium bifidum由来の酵素スルフォグリコシダーゼについて、腸内細菌の栄養源となるムチン糖鎖を分解するメカニズムを明らかにした。 - カテーテルを通じて留置する、低侵襲の肺動脈弁システムを発売
日本メドトロニックは、低侵襲の肺動脈弁専用デバイス「Harmony 経カテーテル肺動脈弁システム」を発売した。先天性心疾患の術後に起こる肺動脈弁逆流症の患者に対し、カテーテルを通じて肺動脈弁を留置する専用デバイスだ。 - データ駆動と仮説思考の両輪が強み、アステラスの経営DXアナリティクス
アステラス製薬が経営のDXにおけるアナリティクスの活用について説明。不確実性が高い一方で大きな投資が必要になる製薬業界で勝ち抜くために、研究開発プロジェクトへの投資判断を支援するシミュレーションなどに役立てているという。 - 脂質解析の統合プラットフォーム開発に向け、共同ラボを開設
島津製作所、九州大学、かずさDNA研究所は、島津製作所本社の研究開発棟に、「脂質解析統合プラットフォーム」開発の拠点となる「Auto Biomolecular analysis Systematization Laboratory」を開設した。 - 協働ロボットで心身のコリを解きほぐす、熟練指圧師の腕を力覚センサー活用で再現
青山学院大学 理工学部の知技能ロボティクス研究室は「Careテクノロジー東京'23 第6回次世代介護テクノロジー展」において、協働ロボットなどを活用した「ウェルビーイング増幅マッサージシステム」を展示した。