360度全方向の音源を色で可視化する解析ソフト、市販機器利用で安価に導入可能：CAEニュース

長谷工コーポレーション、安藤・間、佐藤工業、CAEソリューションズの4社は、産業技術総合研究所と共同開発した3Dマイクロフォン収録データ解析ソフトウェア「OnView」の販売開始を発表した。

[八木沢篤，MONOist]

　長谷工コーポレーション、安藤・間、佐藤工業、CAEソリューションズの4社は2023年3月29日、産業技術総合研究所と共同開発した3Dマイクロフォン収録データ解析ソフトウェア「OnView」の販売開始を発表した。

3Dマイクロフォン収録データ解析ソフトウェア「OnView」による解析結果画面のイメージ［クリックで拡大］ 出所：長谷工コーポレーション、安藤・間、佐藤工業、CAEソリューションズ、産業技術総合研究所

　OnViewを利用することで、360度全方向からの音の強さを色で可視化した「音配図」の作成が可能となる。主に、建設現場周辺の外部騒音をはじめとする都市環境などにおけるさまざまな音の発生／伝搬要因の調査での利用が見込まれ、解析精度の向上や作業効率化が期待される。

　OnViewの開発では、産業技術総合研究所が音源方向の解析アルゴリズムの評価やサンプルデータの解析および評価を、長谷工コーポレーション、安藤・間、佐藤工業の3社が音のサンプルデータ収集と技術評価を、CAEソリューションズがシステム開発を担当した。

　OnViewは3Dマイクロフォンで録音したデータを基に、到来する音の強さ、方位角、仰角を計測し、空間分布を360度画像にマッピングすることで、360度全方向の空間内の各音源の位置を色により可視化する。青色から赤色になるにつれて音が強く、色の付いていない箇所は音が非常に弱いか存在しないことを表している。極座標グラフでは、水平／垂直の各方向から見た到来方向別の音の強さを分かりやすく表示する。

（左）360度カメラで撮影した画像／（右）360度画像に音源方向の解析結果を重ね合わせた様子［クリックで拡大］ 出所：長谷工コーポレーション、安藤・間、佐藤工業、CAEソリューションズ、産業技術総合研究所

　必要な機器は、3Dマイクロフォン、マルチトラックレコーダー、360度カメラとなる。高額で大規模な装置などは不要で、いずれも市販されている機器を利用できる。VR（仮想現実）技術の普及に伴う3Dマイクロフォンの価格低下、そして、可視化機能に特化してOnViewを開発したことにより、従来の高価な可視化システムと比べて、10分の1程度の導入費で利用できるという。なお、録音後にデータをPCに取り込んで分析する方式のため、現場での操作はレコーダーによる録音のみとなる。

　今後、リアルタイム解析機能などの追加を予定しており、騒音減のモニタリングや防犯／見守りなど、さらに幅広い分野での活用を目指すとしている。

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