グリーン水素の製造と活用の実証開始、デンソーとトヨタが福島で地産地消モデル:工場ニュース
デンソーとデンソー福島は、トヨタ自動車と共同で、グリーン水素の製造と工場での水素活用の実証を開始する。水素製造から利活用までのパッケージと規模に応じた水素量の導入モデルを構築し、水素地産地消モデルの展開を目指す。
デンソーは2023年3月9日、トヨタ自動車と共同で、グリーン水素の製造と工場での水素活用の実証を開始すると発表した。同月より、デンソー福島に水電解装置を導入し、「水素地産地消」モデルの構築を目指す。
デンソーグループでは、2030年長期方針において、将来のクリーンエネルギーとして注目される水素を「つくる技術」と「つかう技術」の開発に注力している。2021年には、トヨタと福島県が進める「水素の利活用を通じた工場におけるカーボンニュートラル化」に参画。その取り組みの一環として、トヨタが開発した水電解装置をデンソー福島に導入する。
トヨタが開発した水電解装置は、燃料電池車「MIRAI」のFCスタックを活用し、水を電気分解して水素を製造する。デンソー福島は、この水電解装置で自家発電した再生可能エネルギーを使用して、グリーン水素を製造する。
製造した水素は、工場内の排出ガスを無害化するアフターバーナー炉において、これまで使用していたLPガスと置き換える。また、バーナー構造の工夫により、水素と空気を穏やかに混合して燃焼させ、燃焼温度を低減する。さらに、燃焼解析技術を応用することで炉内の燃焼状況を把握し、NOx(窒素酸化物)ガス排出の抑制と省エネ燃焼を両立した。
今回の実証を通じて、水素製造から利活用までのパッケージを構築する。また、複数のパッケージを組み合わせ、工場の規模に応じた最適な水素量を導入するモデルも構築するとしている。
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