CO2を新たな資源に、デンソーがCO2循環プラントを披露:脱炭素(1/2 ページ)
デンソーは、カーボンニュートラルに向けた取り組みを推進しているが、その中でCO2を回収し、利活用する技術開発を推進。安城製作所(愛知県安城市)に設置したCO2循環プラントを披露した。
デンソーは、カーボンニュートラルに向けた取り組みを推進しているが、その中でCO2を回収し、利活用する技術開発を推進。安城製作所(愛知県安城市)に設置したCO2循環プラントを披露した。
CO2を回収して再資源化する技術の必要性
カーボンニュートラルに向けた世界的な要求は高まるばかりだ。こうした中でデンソーでは、モノづくりにおける使用エネルギーの削減や温室効果ガス排出量の削減を推進する他、デンソー製品により生み出される温室効果ガスを削減するための材料調達や材料開発などに取り組んでいる。また、これらに必要なエネルギーを再生可能エネルギー利用に置き換える取り組みを推進している。
工場でのエネルギーの利用を考えた場合、エネルギーを「つくる」「はこぶ」「つかう」という3つに加えて「ためる」と「もどす」が重要なポイントとなる。再生可能エネルギーの発電は自然由来のものが多く、必ずしも電力やエネルギーの需要と供給が適合するとは限らないためだ。「ためる」技術としては、電池、水素、カーボンニュートラル燃料などがポイントとなる。また、「もどす」についてはCO2回収技術が重要である。
デンソー 執行幹部で環境ニュートラルシステム開発部長である石塚康治氏は「効率を考えると、電気はそのまま使うのが理想的で、電池が使えるのであれば使う方がよい。しかし、現在の電池技術ではエネルギー密度が低く、高価で、大量に電気をためるには不十分だ。そこで、いったん水素やカーボンニュートラル燃料に変換する必要が出てくる。また、こうした背景を考えると2050年になってもCO2排出設備は残り、それを回収する技術が必要になる。CO2を回収して埋めるだけではもったいないので、再資源化するための技術が求められている」と語っている。
これらの「ためる」と「もどす」において、どこでも利用可能な技術として開発を進めているのが、EV(電気自動車)を電力の貯蓄先として使用するV2X(Vehicle to X)技術と、CO2回収技術である。
デンソーが開発しているエネルギーに関するV2X技術は、再生可能エネルギーの余剰電力を最適な形でEVにため、必要に応じてEVから電力を供給する形を目指す。例えば、工場などで通勤してきた社員のEVは勤務中は全く動いていない。そのEVの電池を活用し余剰電力の調整用として活用することを想定している。クリーンなエネルギーを使い切ることでCO2排出を削減する狙いだ。
CO2回収技術については、小規模分散型のシステム構築を目指している。「CO2回収技術では、火力発電所など高濃度のCO2が排出される環境からの回収については重工系企業が多く取り組んでいる。われわれはそこではなくCO2濃度が低い排出源からの回収を低エネルギーで回収することを目指している。具体的にはCO2濃度5%前後の小規模分散環境での回収を狙う」(石塚氏)としている。
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