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水素関連市場は2040年度に90.7兆円に、FCVや発電用がけん引電動化

富士経済は水素関連の市場調査結果を発表した。水素ガスのグローバル市場は、2040年度に2021年度比2.1倍の53兆8297億円に拡大すると見込む。

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 富士経済は2023年3月16日、水素関連の市場調査結果を発表した。水素ガスのグローバル市場は、2040年度に2021年度比2.1倍の53兆8297億円に拡大すると見込む。低炭素な製造方法による水素が主流となり、燃料電池車(FCV)や発電設備での利用が増加するとしている。水素ガスに加えて発電設備や製造装置、水素ステーションなどの機器も含めた水素関連市場は、2040年度に同3.5倍の90兆7080億円と予想する。

 日本での水素ステーションの市場規模は、2040年度に2021年度比76.3倍の1756億円と予測する。水素の調達コストが低下し、水素ステーションの設置数が増加するという。2030年代には自立経営も実現する。

 2022年度の水素ガスの市場規模は、前年から増加して9726万トンとなる見通しだ。産業原料や工業用が大部分を占めており、FCV向けはごく一部だ。今後はFCVや発電設備での利用が拡大し、2040年度には2億1783万トンに増加するとしている。カーボンニュートラルの実現に向けて低炭素な製造方法による水素が求められるものの、コスト低減や供給能力の拡大、輸送インフラの建設、制度設計などが課題となる。そのため、多額の投資が必要になりそうだ。

 国内の水素利用はFCVの他、発電設備の燃料がけん引する。水素やアンモニアを混焼するための設備導入が推進されることで、水素需要が拡大する。政府のグリーン成長戦略では2030年に300万トン、2050年に2000万トンの市場規模を目標としている。また、2030年に向けて水素の海外調達が強化され、中東や北米、オーストラリアなどから輸入が広がる。

 グローバルでの水素の需要は産業原料や工業用が大半を占めており、今後も需要が継続する。2030年度ごろまでFCV向けの成長がけん引し、それ以降は発電向けが需要を広げる。2040年度には、発電向けが産業原料や工業用と同等の規模まで増加するとしている。水素の需要拡大に向けて、CCUS(CO2回収)技術などを活用したブルー水素や、再生可能エネルギーを使って生成するグリーン水素への設備投資が急増すると見込む。天然ガスの価格高騰により、ブルー水素やグリーン水素の価格差が縮まるという。

水素ステーションの普及は

 水素ステーションの設置数は、2021年度にいったん減少したものの、政府が2030年度に向けて1000件を整備する目標を発表。商用車タイプのFCVが利用可能な大規模水素ステーションの設置が増加する他、都市部や幹線道路沿いでの整備が進むと期待される。

 また、小規模な水素ステーションへの補助金交付が2022年度から認められたため、低コストに新設しやすくなる。小型水素ステーションは現在、簡易充填機を備えた水素トレーラーが巡回する移動式がメインだ。工業団地などで燃料電池フォークリフトを導入する目的で、移動式水素ステーションの活用を自治体が後押ししている。

 2030年度以降は、水素ガスパイプラインや液化水素による大量輸送など供給インフラが普及し、水素の輸送コスト低減が見込まれる。商用車の電動化で燃料電池が採用されることで水素ステーションの需要増加も期待される。将来的には水電解型水素製造装置の価格が現状の半分ほどになることが想定されるため、工場や施設での余剰再エネの貯蔵や緊急時の発電など、業種を問わず幅広い用途で水素ステーション導入が予測される。

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