パナソニック エナジーが3年間で国内外5000人を採用、ジョブ型雇用への移行も:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
パナソニック エナジーは、2025年度までの3年間で国内約1000人、海外約4000人の合計5000人を増強し2万5000人の体制とする方針を打ち出した。この人的リソース強化に合わせて、新たな教育制度の導入や、ジョブ型人財マネジメントへの変革なども推進する。
「パナソニック エナジー 技術・モノづくりアカデミー」を開校
このような人員構成の大きな変化に合わせて、採用から入社後初期までのステージ、社内でのキャリア形成ステージ、ネクストキャリア選択ステージの3つに分けて、従業員の自律的なキャリア形成や働き方を支援する。
まず、採用から入社後初期までのステージでは、キャリア採用拡大に向けた優秀な人財の囲い込みと採用した人財の定着(リテンション)の強化を図る。三木氏は「これまでどうしてもエージェント任せになっているところがあったが、能動的にアプローチすることで主体的に人財プールを形成していく。リテンションに向けた入社後のモチベーション向上も重要だ」と語る。
新たな教育制度としては、2023年4月1日から「パナソニック エナジー 技術・モノづくりアカデミー」を開校する。入社2年目までの社員を対象に、同社認定の高度技術者が「技術学部」「生産技術学部」「製造学部」の3学部で電池に特化した技術教育を行う。1つの学部での教育カリキュラムは約半年での履修を想定している。「パナソニックグループ全体でも同様の技術教育制度はあるが、各事業会社で共通する基礎的な内容になっている。電池に特化することで、定期入社だけでなくキャリア入社も短期間で戦力化を図れる」(三木氏)という。
社内でのキャリア形成ステージで重要な役割を果たすのが、ジョブ型人財マネジメントへの変革である。三木氏は「やりがいを重視するキャリア入社の人財を増やしていく上でジョブ型人財マネジメントが必要だ」と説明する。制度移行は約2年間かけて段階的に進めていく方針だ。まず、非組合員を中心に2023年度下期に制度説明を行い、2024年4月からの導入を想定している。現在、非組合員のポストが約600あり、これらを基にジョブディスクリプションを設定していく。組合員に対しては、その後1年間をかけて制度設計と説明を進めて2025年4月からの導入を目指したいとしている。
ネクストキャリア選択ステージで現在検討を進めているのが、現在の60歳定年制に替わる選択式65歳定年制の導入である。「パナソニック エナジーの人的リソースはまだまだ不足しており、技術伝承や海外展開を進めるためにはミドルシニアの力が必要であり、貴重な財産だと考えている」(三木氏)。
なお、今回の合同取材は、多様な人材を生かすオフィス環境整備の一環となる東京オフィス(東京都中央区)の開所当日に行われた。東京オフィスは約120人が執務できるようになっており、今後は人財獲得や採用活動でも積極的に活用していきたい考えだ。
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