ラズパイ用カメラにグローバルシャッター方式が登場、高速マシンビジョンに最適:組み込み開発ニュース
英国Raspberry Pi財団はシングルボードコンピュータ「Raspberry Pi」用カメラモジュールの新製品「Raspberry Pi Global Shutter Camera」を発表した。
英国Raspberry Pi財団は2023年3月9日(現地時間)、シングルボードコンピュータ「Raspberry Pi」用カメラモジュールの新製品「Raspberry Pi Global Shutter Camera」を発表した。全画素を同時に露光するグローバルシャッター方式を採用したソニー製CMOSイメージセンサー「IMX296」を搭載しており、産業用の高速マシンビジョンなどに適している。価格は50米ドル。国内向け販売も始まっており、スイッチサイエンスのWebサイトの価格(税込み)は8525円となっている。
Raspberry Pi Global Shutter Cameraは、外形寸法の縦横が38×38mmで厚さが19mm、重量が34g。専用のアダプターとダストキャップを装着すると厚さが29.5mm、重量が41gとなる。2020年4月発売の「Raspberry Pi High Quality Camera」と同様に、防犯カメラや工業用カメラに用いられているCマウント/CSマウントレンズを装着できる。
158万画素のIMX296は、Raspberry Pi High Quality Cameraに搭載されている1230万画素の裏面照射型CMOSセンサー「IMX477」と比べて画素数は劣るものの、画素サイズは3.45×3.45μmと大きいため光感度が高い。これと併せて、全画素を同時に露光するグローバルシャッター方式のCMOSイメージセンサーを採用しているので、短い露出時間で動作でき高速写真撮影に適している。
これまでのRaspberry Pi向けカメラモジュールは一般的なローリングシャッター方式のCMOSイメージセンサーを採用してきた。ただし、ローリングシャッター方式は二次元配列の画素をスキャニングして撮像を行うため、高速に回転していたり移動していたりする対象物の撮像結果にひずみが発生するという課題があった。
特に、高速のベルトコンベヤー上にある製品の外観検査などを行う産業用マシンビジョンの場合、発生するひずみがわずかだったとしても誤検知などの影響を与える可能性がある。AI(人工知能)アルゴリズムの学習データを収集する場合にも悪影響が出てしまう。全画素を同時に露光するグローバルシャッター方式であれば、これらの課題を解決できる。また、グローバルシャッター方式のCMOSイメージセンサーは画素数が少ないことがローリングシャッター方式と比べて短所になるが、産業用マシンビジョンでは高解像度で撮影する場合もダウンサンプリングすることが多いので、解像度の低さは問題にはならないという。
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