パナソニックが有機イメージセンサーを工場とインフラへ、色再現性の高さも魅力:組み込み開発ニュース(1/2 ページ)
パナソニック ホールディングスは、「画像センシング展2022」において、開発中の有機イメージセンサーの工場や社会インフラにおける活用を意識した展示を行った。2016年2月に学会発表した有機CMOSセンサーは実用化に向けた技術開発が大きく進展しており、今回はさまざまな現場における有効性を示した形。
パナソニック ホールディングスは、「画像センシング展2022」(2022年6月8〜10日、パシフィコ横浜)において、開発中の有機イメージセンサーの工場や社会インフラにおける活用を意識した展示を行った。2016年2月に学会発表した有機CMOSセンサーは実用化に向けた技術開発が大きく進展しており、映像機材向けの展示を行った2021年10月開催の「第4回 4K・8K映像技術展」に続き、今回はさまざまな現場における有効性を示した形。これらの展示会参加を通じて市場ニーズを確かめ、実用化につなげたい考えだ。
受光部に有機薄膜を用いる有機イメージセンサーは、8Kレベルの高解像度と画像を一度に取得するグローバルシャッター(GS)機能、幅広いダイナミックレンジ(WDR)という、イメージセンサーに求められる特性を全て兼ね備えることを特徴としている。受光部にシリコンフォトダイオードを用いる一般的なCMOSセンサーでは、高解像度とWDRもしくはGS機能といったように、3つのうちどれかの特性が不足するというトレードオフが課題になっている。
今回の展示では、3500万画素(8192×4320)の有機イメージセンサーと併せて、装置や設備への組み込みを意識した8Kカメラモジュールのプロトタイプを披露。また、大型プリント基板の検査工程をイメージしたベルトコンベヤーラインの上方に8Kカメラモジュールを設置し、大型プリント基板全体を高解像に隅々まで撮影できることを8Kテレビを使って示して見せた。
プリント基板の検査工程では、ICや電子部品に打刻された印字を確認する必要があるが、CMOSセンサーで撮影した画像の場合、照射する光量によって樹脂パッケージのICで黒潰れ、もしくは金属パッケージの電子部品で白飛びが起こってしまう。これに対して有機イメージセンサーは、WDRの特性によって黒潰れも白飛びも起こらない。
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