小型衛星にMIMO技術を搭載し軌道上での通信実証へ、衛星センシング技術も:宇宙開発
NTTは、宇宙航空研究開発機構が2024年度に打ち上げ予定の革新的衛星技術実証4号機にて、「衛星MIMO技術を活用した920MHz帯衛星IoTプラットフォームの軌道上実証」を実施する。
日本電信電話(NTT)は2023年2月10日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が2024年度に打ち上げ予定の革新的衛星技術実証4号機にて、「衛星MIMO技術を活用した920MHz帯衛星IoTプラットフォームの軌道上実証」を実施すると発表した。
同実証は、超広域省電力センシングプラットフォームの確立に向けたもので、小型実証衛星への搭載を考慮したスケールモデルを用いて、「低軌道衛星MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)技術」や「衛星センシング技術」といった要素技術の実証に取り組む。
低軌道衛星MIMO技術については、時間周波数非同期干渉補償技術と通信路モデル化技術により、2×2MIMOが、SISO(Single-Input Single-Output)伝送と比較してピーク値で2倍、平均で1.5倍以上、伝送容量が改善することを実証する。
衛星センシング技術については、衛星ブラインドビーム制御技術とマルチプロトコル一括受信技術により、同一時刻および同一周波数に到来する2台以上のLPWA(Low Power Wide Area)端末信号の分離、復調を実証する。
その他、制御キャリアレスMIMO復調技術やLPWA端末起動技術の実証、920MHz帯および860MHz帯の上空干渉波調査など、実用化に向けた取り組みをJAXAと進めていく。
超広域省電力センシングプラットフォームが確立することで、地上通信網が整備されていない海洋や山間部などでのIoT(モノのインターネット)デバイス活用やセンシングサービスの提供が可能となる。
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