レゾナックの出発は厳しい足元で、原材料価格高騰と販売数量減で営業利益は278億円減:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
レゾナックが2022年12月期通期業績を発表。売上高は前期比270億円減の1兆3926億円で、営業利益は、外部環境の変化でケミカルおよび半導体/電子材料のセグメントで減益し、前期比278億円減の590億円となった。
2023年第1四半期の業績予想
半導体/電子材料業界の需要動向がメーカーの在庫調整などにより不透明さを増していることを理由に、2023年通期予想業績の発表を見送ったが、2023年第1四半期(1〜3月期)の売上高は3200億円で、営業利益は140億円の損失と予想した。
このように足元の外部環境は厳しいが、2025年に向けた長期ビジョンの売上高目標である1兆6000億円は下方修正せず、数年後を見据えた先行投資を継続的に行いつつ、構造改革を推進し、V字回復を実現し、達成を目指すという。
企業価値最大化に向けて「共創型人材」の育成に注力
構造改革は「ポートフォリオ再編」「赤字製品の撲滅」「資本効率の追求」の3本を柱に進める。ポートフォリオ再編では、半導体後工程材料事業を中核とするコア収益事業への資源集中を強化するとともに、ライフサイエンス事業については、外部パートナーとのアライアンスを含めた戦略的オプションの実装を検討している。赤字製品の撲滅では全社横断で赤字製品の値上げを図り、値上げが難しい場合には事業撤退を検討する。資産効率の追求では不稼働資産の売却と拠点の統廃合で、設備投資などの成長に向けた資金の捻出を図る。
また、レゾナックHDのポートフォリオ変革を実現する「共創型人材」を育成する他、共創型人材を育てるために、独自の「共創型コラボレーション力研修(360度フィードバック)」を展開していく。
レゾナックHD 代表取締役社長 兼 レゾナック 代表取締役社長の高(正確にははしご高)橋秀仁氏は「当社では、ポートフォリオ変革、個の能力、組織文化を強化し、掛け合わせて、企業価値を最大化していく。ポートフォリオ変革では、パートナー企業とともに製品で必要となる素材のすり合わせを行う共創の作業を重要視し、共創を創造する共創型人材の育成に注力する。共創型人材の育成に向け、フィードバック型の研修に力を入れている他、社内公募で対象社員の異動希望を募り人材の社内流動を加速している。注力しているフィードバック型研修である共創型コラボレーション力研修はこれまで、役員全員を対象に実施してきた。この研修は、各対象者の『心理的安全性』『無意識バイアス』『傾聴力』『発信力』『議論を仕切る力』といったソフトスキルについて、上司、同僚、部下から評価してもらった後、3カ月間の座談を受け、同じ上司、同僚、部下に再度評価してもらい、各スキルの能力が改善されているかを調べる。私の場合は、役員全員に評価してもらった後、3カ月間の座学で、傾聴力と発信力が改善されたと評価されている。2023年からは部下がいる社員全員に共創型コラボレーション力研修を受けてもらう予定だ」と説明した。
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