ドローン定期配送を開始、不安定な環境下でも衛星インターネットで通信確保:ドローン
ゼンリンら8者は、土砂崩落の影響が続く秩父市中津川地内を対象に、ドローン定期配送を開始した。配送には物流専用ドローン「AirTruck」を使用。モバイル通信環境が不安定だったため、Starlinkを使ってauのモバイル通信環境を確保する。
ゼンリンは2023年1月26日、土砂崩落の影響が続く埼玉県秩父市の中津川地内を対象に、低軌道衛星インターネットサービス「Starlink」を利用したドローン定期配送を開始したと発表した。秩父市とゼンリンが締結した「緊急物資輸送に関する連携協定」に基づき、食品や日用品、医薬品などを現地へ短時間で配送する。
「&プロジェクト」と名付けた今回の取り組みには、秩父市とゼンリンに加え、KDDI、KDDIスマートドローン、エアロネクスト、コープみらい、ちちぶ観光機構、ウエルシア薬局が参加する。配送には物流専用ドローン「AirTruck」と、ドローン制御システム「スマートドローンツールズ」を使用。地形の特性上、中津川地内のモバイル通信は不安定な環境であることから、Starlinkを使ってauのモバイル通信環境を確保し、最大約5kgの物資を積んだドローンを遠隔自律飛行させる。
同プロジェクトではまず、住民から受けた注文を確認し、コープみらい、ウエルシア秩父影森店、ファミリーマート道の駅大滝温泉店が商品を用意。道の駅大滝温泉までトラックで配送し、ちちぶ観光機構が個人ボックスごとに箱詰めする。その後、崩落トンネルを挟んで物流専用ドローン「AirTruck」で配送し、物資を受け取った区長が各世帯に届ける。配送は週に1回、同年3月末日まで継続する。
ゼンリンらは、通信不感地域におけるドローン定期配送の運用ノウハウを蓄積し、今後、全国のさまざまな地域や環境下においてもドローン配送を社会実装できるように、ソリューション構築を検討していく考えだ。
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