BMWは2023年2月1日、車載用バッテリーの生産を拡大すると発表した。
EV(電気自動車)を生産するライプツィヒ工場(ドイツ ザクセン州)でバッテリーのセルコーティングラインがこのほど稼働した。また、2024年までに3本目のモジュール組み立てラインを追加する他、新たにセルコーティングライン4本、高電圧バッテリーの組み立てライン2本を増設する。
これにより2024年以降、高電圧バッテリー製造の全ての生産プロセスをライプツィヒ工場で稼働できるようになる。BMWは2030年までに少なくとも全販売台数の半分をEVにするため、ライプツィヒ工場に8億ユーロ(約1152億円)以上を投資する計画だ。
セルコーティングシステムは、2022年夏に生産を終了したEV「i3」の生産スペースに設置した。コーティングラインは1時間に2300個以上、年間で1000万個以上のセルを処理することができるという。
セルはパートナー企業から調達している。レーザーで前処理を行い、表面にパターンを形成する。この作業によって表面積を増やすことで、アルミケースの表面張力を低下させる。次に、セルに付着した汚れや酸化物を除去するプラズマ洗浄を行う。これらの作業により、セルの密着性が向上する。この後、セルを2層にコーティングして硬化させ、最適な絶縁性を持たせる。コーティングの厚みや表面の品質の検査、コーティングの欠陥がないことを確認する高電圧テストも実施する。
処理後のセルはライプツィヒ工場内のバッテリーモジュールの生産ラインに移動し、「i4」「iX」向けのバッテリーモジュールとして組み立てられる。
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