山口県の海域で鉄鋼スラグを用いた藻場造成事業が「Jブルークレジット」認証を取得:リサイクルニュース
JFEスチールは、山口県岩国市で進めている鉄鋼スラグ製品「マリンストーン」などを使った藻場造成事業で、「Jブルークレジット」認証を取得した。
JFEスチールは2023年1月10日、山口県岩国市で進めている藻場造成事業「岩国市神東地先におけるリサイクル資材を活用した藻場・生態系の創出プロジェクト」がJブルークレジットの認証を取得したと発表した。
今回のプロジェクトは、神代漁業協同組合、宇部工業高等専門学校との共同事業で、2013〜2018年に、リサイクル資材である鉄鋼スラグ製品「マリンストーン※1」などを用いて約3.6haの藻場生育基盤を造成した。
※1 マリンストーン:天然石に比べて密度が大きく、潮流に対する安定性が優れ、藻類の着生基盤として使える。
さらに、海藻藻場を創出し、藻場の岸側では流動場の抑制により海草生育環境条件が向上して海草藻場の分布が拡大したことから、CO2の吸収量が増えた。同社はこういった取り組みにより構築したブルーカーボン生態系で取り込まれた炭素吸収量を算定した。
その結果、ブルーカーボン生態系で2018〜2022年に79.6トンのCO2を吸収し、固定化したことが判明した。この結果により、国土交通省認可のジャパンブルーエコノミー技術研究組合が運営するJブルークレジット認証を取得した。なお、漁業協同組合、学術機関、民間企業が3者で連携して取り組んだプロジェクトとして初の認証例だという。
Jブルークレジットは、独立した第三者委員会による審査や意見を経て、ジャパンブルーエコノミー技術研究組合が認証、発行、管理する独自のカーボンクレジット。同プロジェクトによるJブルークレジットの購入申し込みは、2023年度に公募される予定だ。
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