環境に優しい複合樹脂発泡体を「ピオセラン2.0」で展開、売上高目標10億円:材料技術
積水化成品工業は2022年12月15日、自動車部材や部品輸送梱包材として利用される複合樹脂発泡体「ピオセラン」の中でも、環境ソリューションとして役立つ品種を「ピオセラン2.0」として展開する。
積水化成品工業は2022年12月15日、自動車部材や部品輸送梱包材として利用される複合樹脂発泡体「ピオセラン」の中でも、環境ソリューションとして役立つ品種を「ピオセラン2.0」として展開することを発表した。
ピオセラン2.0では、使用済みピオセランを回収して再生した「ピオセランRNW」や発泡倍率を従来品の35倍から45倍まで高め、約30%軽量化した自動車部材向けの「ピオセランLW(Light Weight)」、主要な発泡倍率5〜10倍での強度を20〜30%高めて再利用しやすくした重量物梱包向けの「ピオセランHS(High Strength)」をラインアップする。いずれも軽量化、リターナブル、リサイクルといった環境対策につながる品種となっている。
今後は、まず、グローバルにマーケットが拡大し、多様化が進むモビリティとエレクトロニクスの領域で、自動車の軽量化部材やEV部品といったリターナブル重量物梱包材の需要と使用後のリサイクルニーズに応え、ピオセラン2.0を展開する他、ピオセラン2.0のラインアップも拡充する。
2024年度におけるピオセラン2.0の売上目標は10億円で、従来品と比べて約20%のCO2削減効果が見込まれる。
ピオセランは、ポリマーハイブリッド技術を用いてポリスチレンとポリオレフィンの特性を融合させた複合樹脂発泡体。発泡体のため、省資源化と軽量化につながり、耐衝撃性、耐薬品性、耐摩耗性などにも優れている。トヨタ自動車「C-HR」の座席シート部材、燃料電池車「MIRAI」の下肢部衝撃吸収材など、自動車部材や部品輸送梱包材といった用途で幅広く採用されている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- CFRPの間に発泡材を挟んで軽量化、発泡素材の可能性を広げる積水化成品
積水化成品は「オートモーティブワールド2020」(2020年1月15〜17日、東京ビッグサイト)において、自動車の軽量化や安全性に貢献する同社の発泡素材とその複合化技術などを訴求。CFRP(炭素繊維強化プラスチック)と発泡体を組み合わせ、軽量化や柔軟性などを実現した素材などをアピールした。 - 軽量化技術の最前線、樹脂より強い接着剤やバッテリー守る発泡材
2018年5月23〜25日に開催された「人とくるまのテクノロジー展 2018 横浜」では、素材・材料メーカーも積極的な提案を行った。その中から、「軽量化」にフォーカスして、取り組みのトレンドをレポートする。 - 射出成型にもグリーン化の波!? ――物理発泡関連技術のトレクセルが日本法人設立
物理発泡型のプラスチック射出成型技術「Mucellプロセス」を展開する米国トレクセルが、日本法人を設立した。欧州の化学物質規制などで需要が拡大している物理発泡型技術の波を国内でも起こす狙いだ。 - メラミン樹脂発泡体に、VOCの排出量を抑えた新グレードを追加
BASFジャパンは、メラミン樹脂発泡体であるBasotectの新フォームグレード「BasotectUF+」を発表した。軽量で防火性、吸音性、断熱性、柔軟性に優れ、従来品のBasotectUFよりもさらにVOCの排出量を抑えている。 - 積水化学と日立がマテリアルズインフォマティクスで協創、CMOSアニーリングを活用
積水化学工業と日立製作所が材料開発におけるマテリアルズインフォマティクス(MI)の推進に向け協創を開始する。積水化学が持つ材料開発の高度なナレッジと実績、日立の研究所における先行研究の成果を含めた先進デジタル技術とナレッジを融合し、データ駆動型材料開発のためのデジタル基盤の実現を目指す。 - 積水化学がCCUの実証プラントを稼働、MIの開発効率も2〜10倍に向上へ
積水化学工業が同社グループの製品・技術を通じた社会課題解決の取り組みについて説明。環境課題の解決に貢献する新技術として注力しているフィルム型ペロブスカイト太陽電池、バイオリファイナリー、CCU技術の開発進捗状況を報告した。