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自動車生産の回復基調が継続も、半導体供給不足の影は消えず自動車メーカー生産動向(2/2 ページ)

自動車生産の回復基調が続いている。2022年10月の自動車生産を見ると、日系乗用車メーカー8社合計の世界生産台数は5カ月連続で増加しており、半導体をはじめとした部品の供給不足が徐々に緩和されている様子が伺える。

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マツダ

 8社の中で最も高い回復を見せたのがマツダだ。10月のグローバル生産台数は、前年同月比70.4%増の11万1750台と5カ月連続で増加した。主力の国内生産は同109.6%増の7万3704台と倍増し、5カ月連続のプラス。これは前年10月が、東南アジアからの部品供給が滞ったことや半導体不足により本社工場と防府工場で夜勤操業を停止するなど稼働調整を余儀なくされたことへの反動が表れたため。コロナ禍前の19年10月との比較では11%減にとどまっている。車種別では「CX-5」が前年同月比99.2%増、「マツダ3」が同6倍と主力車種が大幅に伸長した。

 海外生産も高い伸びを見せており、前年同月比25.1%増の3万8046台と5カ月連続のプラス。8社の中で最も高い伸び率となった。メキシコは、前年10月が半導体不足による稼働停止を実施したことで同29.6%増と伸長。さらに1月から操業開始した米国工場で新型車「CX-50」を3831台生産したことで、北米トータルでは同63.5%増となり、5カ月連続で増加した。タイも前年の稼働停止の反動により、同221.6%増と3倍超となった。一方、中国は需要に応じて生産調整を行った結果、同39.9%減の大幅マイナスとなり8カ月連続で減少した。

スバル

 SUBARU(スバル)の10月のグローバル生産台数は、前年同月比43.1%増の8万8457台と4カ月連続で前年実績を上回った。国内生産は、依然として半導体不足が続いているものの、前年10月が前年比4割減という大幅な減産調整を実施したこともあり、同65.3%増の6万438台と7カ月連続で増加した。その結果、輸出も同38.4%増と回復している。

 唯一の海外拠点である米国生産は、前年同月比10.9%増の2万8019台と3カ月連続でプラス。ただ、半導体不足などの影響は依然として続いており、コロナ禍前の19年10月との比較では21.4%減にとどまっている。

日産自動車

 日系メーカーの回復傾向が鮮明となる中で、低迷したのが日産・三菱自連合だ。日産の10月のグローバル生産は、前年同月比2.4%減の29万7801台と4カ月ぶりに前年実績を下回った。要因は海外生産で、同12.9%減の23万9360台と4カ月ぶりのマイナス。国別では米国が同17.4%増と伸長し9カ月連続でプラスとなったが、メキシコは同46.2%減と振るわなかった。英国は同30.9%増と伸長した。中国は同1.0%増。ただ、これは小型商用車(LCV)を手掛ける東風汽車(DFAC)の株式売却に合わせ、LCVを除いて前年比を比較したもの。日産の中国事業として前年実績にLCVを含むと同10.8%減となる。

 国内生産は、前年同月比92.9%増の5万8441台と6カ月連続で前年実績を上回った。「ノート」「エクストレイル/ローグ」の好調に加えて、前年10月が前年比半減と低迷したことが理由。低迷していた19年10月との比較でも14.7%減という低水準で、本格回復とは言い難い状況だ。

三菱自動車

 8社の中で唯一大きく台数を落としたのが三菱自だ。10月のグローバル生産台数は、前年同月比17.6%減の8万6533台と5カ月ぶりにマイナスへ転じた。スバルを下回り、8社の中で最も少ない台数となった。

 このうち国内生産は、前年同月比15.0%減の4万1079台で、6カ月ぶりに前年実績を下回った。これは前年が北米向け「アウトランダー」の好調などにより高水準だったことに加えて、半導体不足が響いており、日産向けに生産する軽の電気自動車「サクラ」は受注を停止している。海外生産も同19.8%減の4万5454台と冴えず、5カ月ぶりのマイナス。主要地域の東南アジアは、タイが同28.5%減と低迷したものの、インドネシアは同12.6%増だった。中国はアウトランダーのモデル切り替えなどにより、同75.1%減と大幅にマイナス。その結果、アジアトータルでは同20.7%減だった。

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