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「終わらぬ品質不正」に「どうなる国産先端半導体」、激動の2022年製造業製造マネジメント 年間ランキング2022(1/3 ページ)

2022年に公開した製造マネジメントフォーラムの全記事を対象とした「人気記事ランキング TOP10」(集計期間:2022年1月1日〜12月22日)をご紹介します。

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 年の瀬が近づき、年間ランキング発表の時期がやってまいりました。1年を振り返ると、ロシアによるウクライナ侵攻に始まり、急速な円安進行、インフレによる原材料や部材の大幅な値上げと、産業界全体に多大な影響を与えた出来事に満ちた激動の日々だったように思います。

 筆者個人はこの1年、カーボンニュートラル特集を担当している関係で、企業のCO2削減に向けた取り組みや業界ルール策定の動向を多く取材してきました。確信を持って言えますが、間違いなく人生で一番「CO2」という単語に触れ、そして書いた1年でした。

 現在、製造業全体の共通課題として注目されているのが、いわゆる「スコープ3」への対応です。自社だけでなくサプライチェーン全体のCO2排出量を(原則的には)把握し、削減に取り組む必要性に迫られています。対策に向けて積極的に動く企業もありますが、一方で、どうすれば実効力のある施策を実現できるのかと戸惑っている企業も少なくないでしょう。

 こうした関心に押されてか、筆者の執筆した「いまさら聞けない『スコープ3』」の記事が2022年の読まれた記事ベスト10にランクインしています! 多くの方が必要としている、知りたいと思っている情報をちゃんとお届けすることができたのかなと思い、個人的には結構うれしい出来事でした。お読みいただいた方、ありがとうございます。未読の方もせっかくの機会ですし、ぜひご一読ください。

 ランキング全体を見ると、「品質不正」や「国産先端半導体」など2021年に製造業で大きく注目を集めたニュースの続報も多々ランクインしています。これらのニュースは2023年においても引き続き注目されることは間違いないでしょう。

 では、2022年製造マネジメントフォーラムの閲覧数ランキングを発表いたします!


⇒MONOist年間ランキングのバックナンバー

2021年に引き続き半導体や樹脂不足に悩まされる

 2022年に一番読まれた記事は「半導体や樹脂不足、サプライチェーン混乱への対応に迫られる2022年」でした。MONOist編集部が前年の製造業動向を基に新年の注目点などを語る「MONOist 新年展望」の記事の1つです。こちらはMONOist編集長の三島が執筆した渾身(こんしん)の記事となっています。

 コロナ禍によるサプライチェーンへの影響が深刻化し、半導体や部品、素材、材料の供給に大きな悪影響をもたらしました。特に半導体不足は2020年から2022年にかけては間違いなく、製造業におけるビッグイシューの1つであり続けていると言って良いでしょう。確保に焦る企業が在庫の積み上げや多重発注、余剰発注を繰り返したことで、実態以上に需要が膨らんでいきました。さらにその余波で、一見半導体に関係なく思える工具などの入手難も生じたと聞きます。

 同記事では2021年に実施したMONOistなど産業向け3媒体による部材不足に関する読者調査の結果を基に、製造業の部材不足の実態を提示するとともに、製造業の打ち手を検証しています。半導体と共に樹脂やナイロン、銅などの非鉄金属の不足や価格高騰に悩む企業も多いことがアンケートからは読み取れます。


納期遅れについての読者調査の結果[クリックして拡大] 出所:MONOist 編集部、 EE Times Japan 編集部、EDN Japan編集部

 ちなみにランキングの第9位に入った「高騰する銅・ニッケル・アルミ市場、脱炭素にウクライナ問題の影響は【前編】」は各種非鉄金属の市場価格推移や今後の見通しを専門家の視点でまとめた記事となっています。後編と併せてどうぞ。

 さて、「打ち手」についてですが、冒頭の記事では製造業が取れる選択肢が非常に限られてしまっていると指摘します。読者調査では調達難への対策として「代替素材の調査と活用」を挙げる声が最も多くありました。実際に設計プロセスを巻き込んで代替素材への置き換えを検討する動きも見られますが、そうした対応が可能な製品は限られてしまうというのが現実です。


調達難に関する読者調査の結果[クリックして拡大] 出所:MONOist 編集部、 EE Times Japan 編集部、EDN Japan編集部

 そもそもこうしたサプライチェーンの混乱に対しては、短期的で即効性のある施策を展開するだけでなく、より長期的な視点でレジリエンス強化を行う必要があるでしょう。記事ではサプライチェーン上の情報をリアルタイムかつ自動で一元的に収集する仕組みづくりの大切さを指摘しています。またエンジニアリングチェーンとサプライチェーンの連携も重要です。製品製造のリードタイム短縮だけでなく、柔軟で迅速な生産計画の立案と意思決定につながります。

 2020年から始まった新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、本稿執筆時点でも収まる気配を見せません。もちろん社会全体では、できるだけ感染対策を講じながらコロナ禍以前の社会活動を取り戻していく方向に舵を切りつつあります。しかし、相変わらず産業界は、ゼロコロナ政策から脱却した中国の動向などに振り回されており、こうした様子を見るとコロナ禍の影響はまだまだ根強いと言わざるを得ません。本記事はもう1年前の記事ではありますが、2023年に向けて改めて目を通す価値はあると思います。

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