三菱電機がレーザー加工機に新たな提供形態、最新技術が必要な時に導入可能に:工作機械(2/2 ページ)
三菱電機は2022年11月30日、産業メカトロニクス製作所(愛知県名古屋市)で記者会見を開き、2次元レーザー加工機の最上位モデル「GX-Fシリーズ」の新たな提供形態となる「GX-F Evernext Strategy」について説明した。合わせて、GX-Fシリーズに自社製12kW発振器を搭載した「ML3015GX-F120」「ML4020GX-F120」を追加し、同年12月1日から販売することを発表した。
薄板から厚板まで高品位加工を実現
新製品の「ML3015GX-F120」「ML4020GX-F120」には、Mz Power、AIアシスト2.0に加えて、新たなズームヘッドを導入。1つの加工ヘッドでビーム径を大きく可変させることで、薄板から厚板まで段取り替えなく自在に最適な条件で加工できる。また、レーザー出力が12kWになったことで、10kWと比べて加工速度が20〜30%向上した他、窒素切断適用板厚も12mmから16mmへと拡大した。三菱電機では合わせて年間80台の販売を目指す。
自動化システムの後付けや流用にも対応
GX-F Evernext Strategyでは、GX-F対応の自動化システムの拡張、流用にも対応する。自動仕分けシステムやパレットチェンジャー、マーキングシステムなどの自動化システムを分割導入できるようになり、生産状況、設備計画に応じた拡張などが容易になる。「いままでの自動化システムは拡張、後付け、加工機本体の入れ替え後の流用、システムの更新が難しかった。これらが可能になるように開発を進める」(佐藤氏)。
高付加価値の新技術や自動化システムを必要なタイミングで導入することで、ユーザーは市場競争力を随時強化でき、生産能力強化や事業の変革にも柔軟に対応できる。佐藤氏は「今までは加工機単体を購入後、さらに生産性を向上させる場合は加工機を更新しなければならなかった。ただ、技術進歩は毎年進んでおり、その間は加工機に反映できなかった。GX-F Evernext Strategyでは生産性も段階的に高めることができ、技術進歩も毎年取り入れることができる」と語る。
従来と大きく変わる提供形態なだけに、GX-F Evernext Strategyによって開発手法も変化した。「5年後、10年後にどういった機能が必要か、そのための要素技術開発をどのように進めていけばいいかをわれわれの国内外の研究所で共有、議論する体制を構築した」(横井氏)。
サステナビリティに関しても、佐藤氏は「従来は、設備更新時にまだ使える加工機やシステムがやむなく廃棄されるケースがあった。そのような例を減らし、既存設備を最大限に有効活用することで、持続可能な社会の実現に向けてモノづくりに携わる企業が果たすべき責任、役割に貢献したい」と話す。
なお、記者会見当日は、レーザー加工機の最終組み立て工程を公開した他、ML3015GX-F120によるステンレスと軟鋼の切断実演も行った。
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