三菱電機が機械加工DXを体系化、NCデータを活用し設計から加工や保全まで支援:JIMTOF2022
三菱電機は「第31回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2022)」(2022年11月8〜13日、東京ビッグサイト)において、金属加工製造業の業務を支援する一連のデジタルソリューションを取りまとめた「MONOZUKURI DX Solution」を新たに紹介した。三菱電機製のNC(数値制御)装置による情報を活用し、設計から金属加工、保守までをさまざまな形でサポートする。
三菱電機は「第31回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2022)」(2022年11月8〜13日、東京ビッグサイト)において、金属加工製造業の業務を支援する一連のデジタルソリューションを取りまとめた「MONOZUKURI DX Solution」を新たに紹介した。三菱電機製のNC(数値制御)装置による情報を活用し、設計から金属加工、保守までをさまざまな形でサポートする。
機械加工領域を対象としたDX基盤「MONOZUKURI DX Solution」
三菱電機では、モノづくりのDX(デジタルトランスフォーメーション)を積極的に推進している。製造現場でのデジタル技術の活用を進めるとともに、最近では設計開発や保守などエンジニアリングチェーンにおけるデジタル化に対する取り組みを強化してきている。既に、放電加工機向けで遠隔モニタリングなどが行えるリモートサービス「iQ Care Remote4U」などを展開しているが、あらためて機械加工領域に関するDXソリューションを体系化した。
開発や設計領域向けは「Design4U」、加工や製造領域向けは「Machining4U」、保守や保全領域向けは「Remote4U」として、アプリケーションを展開する。また、これらで提供されるアプリケーションと、ユーザーやパートナーを結び付けるデジタル基盤、そこで提供されるソリューションの総称を「MONOZUKURI DX Solution」とする。「従来は個々に提供してきたサービスやアプリケーションなどを体系化して提供していく」(三菱電機)。
それぞれの具体的なアプリケーションとして、Remote4Uでは先述したようにiQ Care Remote4Uを既に展開中だ。これは工作機械の状況をWebブラウザ上で遠隔監視できるリモートサービスで、トラブル発生時に機械状況を的確に把握しながらサポートを行うことができるもの。早期復旧につなげられる。
Design4Uでは、新たに「NC Virtual Simulator」をアプリケーションとして用意し、2022年中に展開を開始する予定だ。3D CADデータからNCプログラムを作成し、試作加工を行う前から、加工不要や干渉箇所、作業スピードのバラツキなどを事前確認できる。試作加工回数の大幅な削減が可能となり、作業効率や生産性の向上に貢献する。「機械で直接取得するような情報を使うわけではないため、作業環境の温度や振動などの情報を活用できるわけではないが、NCまでのデータ連携を進めることで、デジタル上で事前に作業プログラムの問題などを把握できるようになる」(三菱電機)としている。
Machining4Uでは「Offset Status Visualizer」をアプリケーションとして用意する。これは、クラウド上に自動バックアップされた工具データなどの活用により、加工不良要因の分析を支援するものだ。取得した工具データの履歴表示機能などにより加工不良要因の切り分けなども容易に行えるようになる。これは2023年春ごろのリリースを想定しているという。
パートナーを募集しエコシステムを構築へ
三菱電機では今後、これらのアプリケーションを組み合わせた「MONOZUKURI DX Solution」を推進していくために、パートナーの募集を進めていく。NC経由で作業データを提供しアプリケーションによって知見を活用する製造業パートナーを求めていく他、アプリケーションを作成し販売してもらうアプリケーションパートナーを募っていく。アプリケーションパートナーとしては、工作機械メーカーや工具メーカー、CAD/CAMベンダー、システムインテグレーターなどを想定しているという。「基本的には詳細な作業データを活用するため、三菱電機製のNCを導入していることが条件となる。アプリケーションのマーケットプレースなども用意していく計画だ」(三菱電機)としている。
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