進化するニーズに応える課題解決型施設へ、三菱電機がFA展示施設を刷新:FAニュース
三菱電機が東日本FAソリューションセンター(東京都台東区)を2022年7月4日にリニューアルオープンし、それに先立つ6月30日にメディア対象に視察会が行われた。
三菱電機は2022年6月30日、同年7月4日にリニューアルオープンした東日本FAソリューションセンター(東京都台東区)を報道陣向けに公開した。
三菱電機 執行役員 FAシステム事業本部 機器事業部長の古谷友明氏は「漠然とした自動化ではなく、装置の予知保全やCO2の削減など、コロナ禍を経てより顧客の要求が具体的になってきている。課題を共有して一緒に解決していく施設にするため、リニューアルを行った」と語る。
同センターは2018年に「見る」「学ぶ」「試す」をコンセプトとして開設され、自動車や食品など業種別ロボットアプリケーションの展示やテストルームなどを設けていた。古谷氏は「どちらかといえばハードウェアの機能、性能の紹介が強い展示だった。実際に課題をお話しいただいても、われわれが持つ最適な解決策を提案する準備ができていなかった」と振り返る。
新たに設置された「デジタルマニュファクチュアリングエリア」では、スマートウォッチの生産工程を模した6台のロボットによるラインを設けた。部材の投入から検査、組み立て、出荷までの一連の流れを全て自動化している。2022年に発売した3Dシミュレーター「MELSOFT Gemini」との連携により、目の前にある生産ラインを再現した仮想ラインを構築して上方に設置したモニターに表示しており、双方のロボットの動きを同期させている。
さまざまなソリューションを提案する「デジタルマニュファクチュアリングエリア」。スマートウォッチの生産工程を模した6台のロボットによるラインは、写真内左上のモニター内に表示されている仮想ラインと動きが同期している[クリックして拡大]
MELSOFT Geminiはデジタルツインとしてロボット動作などを事前に検証でき、設備立ち上げ時の手戻り工数の削減や調整時間の短縮につながる。各機器からのデータを一元管理し、見える化する「SCADA GENESIS64」による稼働状況の監視画面も上方に設置したモニターに映し出している。ラインの手前にあるモニターではFA機器の予知、予防保全やAI(人工知能)による省エネ支援など、課題に応じたソリューションを紹介する。
来るたびに新しい発見、気付きのある施設に
100インチの大型モニターを配置した「コミュニティーエリア」では、選択した課題、要望などのキーワードに沿ってソリューションや関連製品、技術を紹介し、顧客と三菱電機のエンジニアらが意見交換できるスペースになっている。オンライン会議による三菱電機の各拠点との技術懇談なども計画している。「装置設計シミュレーションドーム」では三菱電機の最新ソフトウェア製品をハンドジェスチャーによって体感できる。「イベントエリア」では企画展示やセミナーなどを実施する。2022年9月30日までは「カーボンニュートラルの実現に貢献する三菱電機の先進技術」と題して省エネ関連製品、技術などを紹介している。
その日の天気をロボットがペンで描くお絵描きロボットや、実際のワークを持ち込んでロボットやセンサーの動きを試すことができる「テストルーム」は従来と同様に稼働する。特にテストルームは連日予約が入っているという。
リニューアル前は年間5000人ほどが訪れた。2022年度は6000人の来場を見込む。「課題は1回では解決できない。何度でも足を運んでいただける施設にしたい」と古谷氏は話す。三菱電機 FAシステム事業本部 デジタルマーケティングセンター プロモーショングループマネジャーの柴垣津以子氏も「顧客とともに作り上げる“コ・イノベーション”の場として、課題解決型施設へと進化させたい。何度来ても新しい発見がある、気付きがある場にしたい」と意気込む。
東日本FAソリューションセンターは同社のWebサイトなどから申し込み可能となっている。
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