ルノーがCASE対応で新たな動き、EV、ソフトウェア、その他パワトレは新会社に:電動化(2/2 ページ)
ルノーグループは2022年11月8日、投資家向けに説明会を開き、営業利益率を2025年に8%以上、2030年までに10%以上に高める事業計画を発表した。
コックピットはGoogleとの協力によりAndroidベースとなる。また、ソフトウェアデファインドビークルのデジタルツインを実現するためのクラウドソフトウェアでも協力する。車両のデジタルツインによって、故障を未然に防ぐ予知保全や、リアルタイムな障害の検出と改善、パーソナライズされた車内サービス、実際の使用状況や運転行動に基づいた自動車保険の提供などにつなげる。
Androidベースのオープンプラットフォームとすることにより、サードパーティーのアプリ開発者からなるグローバルなエコシステムをAmpereで活用する。車両のライフサイクル全体を通じて機能の開発を加速させながら、ユーザーエクスペリエンスを向上するさまざまなサービスを創出する。
Ampereは2023年後半にユーロネクストパリへの上場を計画している。ルノーグループが株式の過半数を持つ。クアルコムまたは関連会社がAmpereに出資する予定もある。日産自動車や三菱自動車の資本参加も検討中であるという。
エンジン新会社はコスト削減も大きなテーマに
内燃機関やハイブリッドシステムは吉利汽車との合弁で設立する新会社で開発から生産まで行う。エンジン、トランスミッション、電動システム、バッテリーなど全てのコンポーネントを提供するとしている。
新会社はグローバルサプライヤーとして、ルノー、ダチア、吉利汽車、ボルボ・カーズ、Lynk&Co、プロトン、日産、三菱自動車など複数の自動車メーカーにパワートレインを供給することが見込まれる。これ以外の自動車メーカーにもパワートレインを提供する可能性があるとしている。
新会社の正式な発足は2023年。工場がグローバルで17カ所、研究開発拠点が欧州(スペイン、ルーマニア、スウェーデン)、中国、南米の5カ所となる。エンジニアは総勢3000人、全従業員は1万9000人に上る。収益は発足当初から150億ユーロ(約2兆2000億円)と見込む。ルノーグループと吉利汽車で市場や製品を補完し合い、北米や中国での事業も強化する。また、エネルギー業界のパートナーの協力も得ながら、代替燃料の技術ポートフォリオも開発し、ダチアブランドに適用する。
競争力を向上する上で、財政的な体質改善も実施する。具体的には、25億ユーロ(約3600億円)の固定資産の削減、2023〜2030年の年平均で固定費12億ユーロ(約1762億円)を変動費化するとともに研究開発費や設備投資を24億ユーロ(約3500億円)減らす。体質改善のプラスの影響は、早ければ2024年にも出るとしている。
ソフトウェアデファインドビークルが物流にも貢献
小型商用車の領域でも、ソフトウェアデファインドビークル化や電動化を加速させる。ルノーグループのソフトウェアデファインドビークル第1弾は小型商用車になるという。
ソフトウェアデファインドビークル化では、新会社Ampereの成果を活用する。小型商用車がデジタルエコシステムに統合されることで、コネクテッドな倉庫の延長として扱えるようになるとしている。リアルタイムのエンドツーエンドのオペレーションモニタリングやデータドリブンな車両管理を実現し、物流企業のライフサイクルコストを少なくとも30%削減し、車両価格以上のコスト低減を図ることを目指す。
また、電動化では、小型商用車専用のEVプラットフォームを採用した「FlexEVan」を2026年に発売する他、Hyviaと協力して燃料電池システムや車両への水素の供給、水素を製造する電解槽など水素関連のエコシステムも手掛ける。FlexEVanの開発もパートナーと進める。Hyviaは2030年までに欧州の小型商用車の燃料電池市場のシェア30%獲得を目指している。また、2026年までに累計10億ユーロの受注を目指している。
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