タイヤのサステナブル素材の比率を大幅アップ、今後3年以内の開発方針を示す:材料技術
日本ミシュランタイヤは2022年10月27日、サステナブル素材の比率を高めたタイヤを発表した。サステナブル素材の含有率は乗用車用が45%、バス用は58%となる。公道走行の承認を受けており、現行製品と同等の性能を持つという。
日本ミシュランタイヤは2022年10月27日、サステナブル素材の比率を高めたタイヤを発表した。サステナブル素材の含有率は乗用車用が45%、バス用は58%となる。公道走行の承認を受けており、現行製品と同等の性能を持つという。
今回発表したタイヤは、今後3年以内に開発するスタンダードなタイヤのコンセプトを示すものである。再生カーボンブラックやヒマワリ油、バイオ由来樹脂、籾殻シリカ、再生スチールを使用した。ミシュランはタイヤに使用する持続可能な材料の比率を2030年に40%、2050年に100%に高めることを目指している。タイヤのライフサイクル全体での環境負荷低減にも取り組む。
持続可能な材料の比率を100%にするため、さまざまなパートナーと協力している。カナダのパイロウエーブはポリスチレンの廃材をスチレンに再生しており、年間数万トンのポリスチレン廃棄物をタイヤやもとの製品にリサイクルする目標だ。フランスのキャルビオは酵素でペットボトルを分解する技術を持つ。分解で得られるモノマーにはポリエステルが含まれており、年間40億本のペットボトルをタイヤにリサイクルできる可能性があるとしている。フランスのアクセンスとIFPENは、木材や籾殻、トウモロコシの茎や葉などを原料にしたバイオマスブタジエンを製造しており、年間420万トンの植物チップがタイヤ製造に使える可能性がある。
スウェーデンのエンバイロは、ミシュランとともにタイヤのリサイクルプラントを建設しており、使用済みタイヤからカーボンブラックや熱分解油、スチール、ガスなどを回収する特許技術を開発している。フランスの環境エネルギー管理庁などとも使用済みタイヤを高品質な原材料に変換する取り組みを進めている。
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