3Dプリンタを活用した赤ちゃん用頭蓋矯正ヘルメットがグッドデザイン賞受賞:3Dプリンタニュース
ジャパン・メディカル・カンパニーが開発した赤ちゃんの頭のゆがみを矯正するヘルメット「Qurum」が「2022年度グッドデザイン賞」を受賞した。3Dプリンタを活用した日本生まれの完全オーダーメイドの頭蓋矯正ヘルメットとなる。
ジャパン・メディカル・カンパニーは2022年10月7日、3Dプリンティング技術を活用し、赤ちゃんの頭のゆがみを矯正するヘルメット「Qurum(クルム)」が「2022年度グッドデザイン賞」を受賞したと発表した。日本やアジアでの頭蓋矯正を最適化するために開発された日本生まれの頭蓋矯正ヘルメットとなる。
クルムは、脳神経外科、小児科、新生児科、小児外科、形成外科の医師の監修を受け、日常になじむデザインを目指して開発された。強度と軽さを両立した構造のため、首が座っていない低月齢から装着できる。
各患児の頭に合わせるため、頭の形を正確に計測し、頭蓋変形を精密にデータ化する。最先端の3Dプリンタで出力する完全オーダーメイドで、高温多湿なアジアの気候条件に対応するよう通気性に優れた全面メッシュ構成により、頭がムレにくくなっている。
内部には、手術台など医療現場で使用される素材を使った、特殊なクッションフォームを採用。ヘルメットシェルとクッションは水洗いが可能で、常に清潔な状態を保つことができる。成長に合わせて簡単にヘルメットを調整可能だ。2021年2月には、医療機器承認を取得している。
2022年度グッドデザイン賞では、赤ちゃんのかわいらしい写真を治療中でも撮りたいという母親の強い要望を意識した、メッシュ型ニット帽子風のデザインが高く評価された。3Dプリンタを使用し、各患児に合わせた完全オーダーメイドである点も評価されている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 専門医の知見とテクノロジーの融合で治療のハードルを下げる歯科矯正サービス
3Dプリンタ活用が進む歯科医療の現場において、マウスピース歯科矯正サービス「hanaravi」を展開するDRIPS。同社は歯科矯正の専門知識とテクノロジーの融合によって、患者が抱く歯科矯正へのハードルを下げ、効率的かつ治療効果の高いマウスピース歯科矯正の実現に取り組む。その狙いやサービスの特長について、同社 CEOで医師の各務康貴氏に話を聞いた。 - 安価で高品質な義足を途上国へ、3Dプリンタ×AIの生産技術で社会課題を解決
数多くのハードウェアスタートアップやメイカースペース事業者などを取材してきた越智岳人氏が、今注目のスタートアップを紹介する連載。今回は、3Dプリンタをはじめとする3D技術を活用し、製造コストを従来の10分の1に抑えた義足を提供するInstalimb(インスタリム)にフォーカスし、開発のきっかけやこれまでの取り組み、今後の展望などについて、同社 代表取締役CEOの徳島泰氏に話を聞いた。 - ワクチン接種の「打ち手不足」解消に貢献、3Dプリンタ製筋肉注射練習モデル公開
慶應義塾大学SFC研究所は、同大学 看護医療学部 准教授の宮川祥子氏が推進するプロジェクトが、3Dプリンタ製筋肉注射練習モデルの設計データおよび作成/使用方法に関する説明書を特設Webサイトに公開したことを発表した。ワクチン接種の打ち手不足解消に向け潜在看護師の実技練習環境の整備を支援する。 - 抗ウイルス/抗菌機能を備えた3Dプリンタ用フィラメントを開発
DICは、抗ウイルス/抗菌機能を有した3Dプリンタ向け熱可塑性プラスチック材料を開発したことを発表した。抗ウイルス性/抗菌性に作用するフィラメントの開発は「国内初」(同社)だという。 - 3Dマスク誕生秘話、本格的なモノづくり未経験で量産化まで実現できた理由
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大の影響により、深刻なマスク不足の状態が続いた当初、イグアスは突如、3Dプリンタ製マスク(3Dマスク)のSTLデータを無償公開した。本格的なモノづくりを実践したことのない同社がなぜ3Dマスクの開発に踏み切り、最終的に製品化までこぎつけることができたのか。 - 臓器を正確にコピーした3Dプリント線量計が、正確で安全な放射線治療に貢献
産業技術総合研究所(AIST)と東北大学大学院 工学研究科 応用化学専攻、金沢工業大学 応用化学科の研究グループは、放射線を照射することで発色するラジオクロミック材料を用いた3Dプリント線量計の製作に初めて成功した。