自動化省力化に応える油加工液仕様、4軸のリニアモーターで高い位置決め性能:工作機械
ソディックは、油加工液仕様のリニアモーター駆動ワイヤー放電加工機「AX350L」を発表した。優れた位置決め性能と再現性を備えており、長時間の安定加工や自動化、省力化ニーズに応える構造、機能を搭載する。
ソディックは2022年9月26日、油加工液仕様のリニアモーター駆動ワイヤ放電加工機「AX350L」の販売開始を発表した。価格は3350万円(税別)からで、年10台の生産を目標とする。「第31回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2022)」(2022年11月8〜12日、東京ビッグサイト)で実機を展示する。
4軸(X、Y、U、V)はリニアモーター駆動を採用し、位置決め性能と再現性に優れる。高剛性の門型構造やアーム懸垂構造、環境診断機能を含む総合温度管理などにより、長時間の安定加工が可能だ。
完全自動制御の3面自動上下式タンクは、ロボットによるワーク交換システムとの親和性が高く、連続自動運転を構築できる。また、ピッチ加工補正機能やアイドリング機能などが、自動化や省力化ニーズに応える。
加工タンクがワークスタンド下まで降下するため、高板厚の切り落し部品を容易に除去できる。また、220mm(加工は120mmまで)のZ軸ストロークにより、ワーク上面からの視認性を高めた。作業性も向上しており、ハンドリフターが利用できるようスペースを確保しているため、加工物を出し入れしやすい。
標準搭載のソフトウェア「S-Viewer」で機械の稼働状況データを把握することにより、ダウンタイムを削減し、機械稼働率を高められる。
他に、自動電源遮断のワンタッチ切り替えや、ランニングコストの状況をリアルタイムで表示できるガジェット機能「eco collections」、加工液の省エネ機能を搭載するなど、CO2排出量や消費電力の削減にも貢献する。
XYZ軸の移動距離は350×350×220mm、最大加工物寸法は750×700×100mm、最大加工物質量は300kg。機械本体寸法は2705×2490×2185mm、機械本体質量は4500kgだ。
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