制御精度をさらに進化、ソディックが電動式射出成形機の後継モデル発売:FAニュース
ソディックは、電動式射出成形機「MS」シリーズの後継モデル「MS G2」シリーズの販売を開始した。MSシリーズが持つ優れた繰り返し安定性、生産性向上や省エネの効果、IoT対応を継承しつつ、さらに制御精度が向上している。
ソディックは2022年8月1日、電動式射出成形機「MS」シリーズの後継モデル「MS G2」シリーズの販売を開始した。標準価格は、100t仕様の「MS100G2」が1060万円からとなっている(税別)。
MS G2シリーズは、MSシリーズが持つ優れた繰り返し安定性、生産性向上や省エネの効果、IoT(モノのインターネット)対応を継承しつつ、さらに制御精度が向上している。
可塑化部と射出部から成るeV-LINE方式と、同社独自のサーボモーター制御技術を採用しており、正確で再現性の高い成形ができる。また、射出成形機の国際安全規格であるISO20430(JIS B 6711)に準拠する。
自社で開発した高度な通信システムにより、応答性に優れた射出制御が可能になり各動作の制御精度が向上した。また、高精度温調システムの採用で、従来よりもヒーター温度を細かく制御して、より安定した高精度成形が可能になった。
MSシリーズでは、使用する周辺機器の入出力信号をANDまたはORで設定する機能「論理IO」はオプションだったが、標準搭載となった。外部装置に対する多種多様な信号を生成できる。
画面の操作性では、操作画面を19型化したことで表示できる情報量が増えた。機械状態データのグラフィカル表示、サイクルチャートのリアルタイム表示を追加し、画面視認性も向上している。従来の操作性の高い画面スイッチ配置はそのままに、波形表示画面ではピンチイン、ピンチアウト、スワイプなどスマートフォンのような操作にも対応する。
IoT対応では、ネットワークで周辺機器や他の複数の設備と接続し、成形品ごとに成形環境や成形条件の情報が管理できるシステムを構築できる。標準装備のLANポートで同社の品質生産管理システム「V Connect」への接続やM2Mへの対応が可能だ。データ交換インタフェース「EUROMAP63」「EUROMAP77(OPC UA通信)」に準拠する。
さまざまなユーザーや成形工法に対する条件設定が容易にできるよう、標準機能として、「圧力充填制御(圧力優先制御)」「射出連動型締機能」「型締中射出機能」「条件変更禁止10パスワード」を追加した。
環境汚染への対策も取っている。オプションで用意する「INFILT-V」は、eV-LINE方式による安定した計量、射出と不活性ガス供給ユニットを組み合わせた。薄肉製品の成形と樹脂の熱分解、アウトガス抑制効果を両立できる。電力消費も削減しており、同社ハイブリッド機と比較して、電力消費量を最大28%低減している。
MS100G2のほか、「MS150G2」「MS200G2」「MS50G2」の4機種をラインアップする。販売開始時期は、MS100G2、MS150G2、MS200G2が2022年8月、MS50G2が同年10月となっている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 進む製造機械の「知能化」、学習済みAIを搭載する動きが拡大へ
AI(人工知能)の活用が広がりを見せている。こうした中で、新たな動きとして定着が進んでいるのが、工作機械や射出成形機など、製造機械へのAI機能の組み込みである。2022年はこうした動きがさらに加速し、AIの学習までを機械メーカーが担って出荷する動きが進む見込みだ。 - 進む産業機械のスマートフォン化、標準化とオープン化がカギに
スマート工場化が進む中、工場内の生産機械や設備にも生産情報や設備情報などを活用するために「つながる」ことが求められるようになってきている。こうした環境に合わせる形で、生産機械についても協調領域については「水平分業型」へのシフトが加速する見込みである。 - 工作機械の共通インタフェース「umati」とは何か?
工作機械のスマート化に向けて注目されている通信規格が「umati」である。本連載では「umati」とはどういう規格なのか、技術的にはどういう背景があるのか、どのような活用シーンがあるのかについて、紹介する。第1回となる今回は「umati」とは何かをテーマに概要を取り上げる。 - 金属3Dプリンタで多様な試験造形が可能、ソディックがアタッチメント方式ユニット発売
ソディックは、1台の金属3Dプリンタでさまざまな粉末の試験造形ができる「Material Trial Unit」シリーズを発表した。アタッチメント方式の採用により取り扱いやすく、試験造形に柔軟に対応する環境の整備が可能になる。 - 材料交換の簡易化やヒューム回収能力を向上、稼働率を高めた金属3Dプリンタ
ソディックは、材料交換やメンテナンスなどの非稼働時間を大幅に削減できる金属3Dプリンタ「LPM325S」を発表した。材料交換作業の簡易化やヒューム回収能力の向上など、機能強化が図られており、長時間高速で安定した造形ができる。 - 食品機械事業の強化に向けて中国に新工場建設、電動射出成形機や製麺機を製造
ソディックは、連結子会社である沙迪克の厦門工場に新工場の建設を開始した。工場新設により、産業機械事業、食品機械事業の世界的な市場競争力をさらに強化する。