高精度部品対応の新たなワイヤー放電加工機、消費電力20%低減し環境配慮も推進:FAニュース
ソディックは、高精度部品や金型の加工に対応するワイヤー放電加工機「VN400Q」「VN600Q」の販売を開始した。自社製のリニアモーターや独自機能を標準搭載しており、長期にわたる安定した高精度加工を可能にする。
ソディックは2022年8月23日、高精度部品や金型の加工に対応するリニアモーター駆動のワイヤー放電加工機「VN400Q」「VN600Q」の販売開始を発表した。価格は、VN400Qが1500万円から、VN600Qが1700万円から(いずれも税別)。両機種合わせて、年間120台の生産を目標とする。
VN400QとVN600Qは、4軸(X、Y、U、V)に自社製のリニアモーターを搭載したワイヤー放電加工機のエントリーモデル。医療機器や航空宇宙産業向けの複雑形状部品の高精度加工や、一般的な金型の効率的な加工ニーズに応える。
リニアモーター駆動方式は、高速移動と高精度な位置決めが可能で、機械的な接触が無いため、応答性や保守性に優れ、長期にわたって信頼性の高い運転を維持する。両機種は、リニアスケールの標準搭載に加え、高剛性機械構造および精密熱変位補正機能「TH COM(サーマルコミット)」の採用により、長時間の高精度加工が可能だ。
他にも、テンションサーボ機能、自動結線装置「FJ-AWT」、加工板厚変化に自動的に対応する「DSF(ダイナミックシェイプファースト)」機能、セラミックスタンド、新型「LN3W、LP3W電源」、加工支援システム「HeartNC」などを標準搭載する。
XYZ軸移動距離は、VN400Qが400×300×230mm、VN600Qが600×400×310mm、最大加工物寸法はVN400Qが830×700×225mm、VN600Qが1100×820×305mm、最大加工物質量はVN400Qが500kg、VN600Qが850kgとなっている。
同社は、加工液処理系の消費電力が、電力消費量の約70%と多くを占めることから、ポンプの駆動エネルギーを抑える液処理回路を両機種に標準搭載し、従来機比で消費電力を約20%削減している。また、サプライ品をリサイクルするシステムを確立するなど、環境保護につながる取り組みにも力を入れている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 進む製造機械の「知能化」、学習済みAIを搭載する動きが拡大へ
AI(人工知能)の活用が広がりを見せている。こうした中で、新たな動きとして定着が進んでいるのが、工作機械や射出成形機など、製造機械へのAI機能の組み込みである。2022年はこうした動きがさらに加速し、AIの学習までを機械メーカーが担って出荷する動きが進む見込みだ。 - 進む産業機械のスマートフォン化、標準化とオープン化がカギに
スマート工場化が進む中、工場内の生産機械や設備にも生産情報や設備情報などを活用するために「つながる」ことが求められるようになってきている。こうした環境に合わせる形で、生産機械についても協調領域については「水平分業型」へのシフトが加速する見込みである。 - 工作機械の共通インタフェース「umati」とは何か?
工作機械のスマート化に向けて注目されている通信規格が「umati」である。本連載では「umati」とはどういう規格なのか、技術的にはどういう背景があるのか、どのような活用シーンがあるのかについて、紹介する。第1回となる今回は「umati」とは何かをテーマに概要を取り上げる。 - 制御精度をさらに進化、ソディックが電動式射出成形機の後継モデル発売
ソディックは、電動式射出成形機「MS」シリーズの後継モデル「MS G2」シリーズの販売を開始した。MSシリーズが持つ優れた繰り返し安定性、生産性向上や省エネの効果、IoT対応を継承しつつ、さらに制御精度が向上している。 - 金属3Dプリンタで多様な試験造形が可能、ソディックがアタッチメント方式ユニット発売
ソディックは、1台の金属3Dプリンタでさまざまな粉末の試験造形ができる「Material Trial Unit」シリーズを発表した。アタッチメント方式の採用により取り扱いやすく、試験造形に柔軟に対応する環境の整備が可能になる。 - 材料交換の簡易化やヒューム回収能力を向上、稼働率を高めた金属3Dプリンタ
ソディックは、材料交換やメンテナンスなどの非稼働時間を大幅に削減できる金属3Dプリンタ「LPM325S」を発表した。材料交換作業の簡易化やヒューム回収能力の向上など、機能強化が図られており、長時間高速で安定した造形ができる。