新型コロナ患者の尿中に排せつされる脂質代謝物を発見:医療技術ニュース
東京大学は、新型コロナウイルス感染症患者の尿中に、プロスタグランジンやトロンボキサンなどの脂質代謝物が多く排せつされることを発見した。今後、非侵襲的にCOVID-19の病態を把握するバイオマーカーへの応用が期待される。
東京大学は2022年9月26日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の尿中に、プロスタグランジン(PG)やトロンボキサン(TX)などの脂質代謝物が多く排せつされることを発見したと発表した。国際医療福祉大学との共同研究による成果で、今後、非侵襲的にCOVID-19の病態を把握するバイオマーカーへの応用が期待される。
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今回の研究では、RT-PCR法でCOVID-19と診断され、人工呼吸器を必要としない中等症以下の患者を対象とした。患者の尿中に排せつされる約200種類の生理活性脂質と濃度を測定したところ、21種類が安定的に検出された。
そのうち、tetranor-PGEM、tetranor-PGFM、11-dehydro-TXB2、必須脂肪酸の1種であるドコサヘキサエン酸が、健常者の尿よりも含有量が増加していた。tetranor-PGEM、tetranor-PGFM、11-dehydro-TXB2は、それぞれ炎症性脂質として知られるPGE2、PGF2α、TXA2の代謝産物だ。
また、尿中の生理活性脂質のうち10種類の濃度が、COVID-19患者の病態進行予測に有用とされている血漿中CRPやフェリチンなどの濃度と相関することが分かった。特に、tetranor-PGEMとフェリチンは最も強い正の相関が確認できた。
この成果を基に、COVID-19患者に特徴的な尿中脂質代謝産物を測定する簡易キットが開発できれば、自宅でも尿から症状の程度を評価可能になるとしている。
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