「Autodesk Platform Services」をベースとする3つの業界別クラウドを発表:Autodesk University 2022
Autodeskは、グローバルカンファレンス「Autodesk University 2022」において、ワークフローやプロセス、ツールやデータ、人やチームをオープンなエコシステムでつなげ、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を支援する3つの業界別クラウド「Autodesk Fusion」「Autodesk Flow」「Autodesk Forma」を発表した。
Autodesk(オートデスク)は、グローバルカンファレンス「Autodesk University 2022」(会期[現地時間]:2022年9月27〜29日/オンライン配信も実施)を米国ニューオリンズで開催。同イベントのゼネラルセッションにおいて、同社 代表取締役社長 兼 CEOのAndrew Anagnost(アンドリュー・アナグノスト)氏は、ワークフローやプロセス、ツールやデータ、人やチームをオープンなエコシステムでつなげ、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を支援する3つの業界別クラウド「Autodesk Fusion」「Autodesk Flow」「Autodesk Forma」を発表した。
ここ数年、世界はさまざまな困難に見舞われ、常に変化が求められる状況にある中、デジタルツールの利用は浸透したものの、多くの現場では、業務プロセスは分断されたままで、データを効率的に活用できていない状況が続いている。
こうした状況に対して、アナグノスト氏は「今こそ、信頼しているソフトウェアやツールが、そうした変化に追い付いていけるものかどうかを再考するときだ」と述べ、データ、プロセス、人やチームが分断され、サイロ化された状況から脱却すべきだと訴える。そして、それらを見極め、見直す機会をもたらすものが、今回発表した3つの業界別クラウドだという。
「これら3つの業界別クラウドは、プロジェクトのあらゆる段階において、アセットとワークフローをより効率的に管理し、適切な担当者と適切なデータを、適切なタイミングで接続することができ、全く新しい働き方の推進を支援するものだ」(アナグノスト氏)
業界別クラウドの実現を支えているのが、「Autodesk Platform Services」と呼ばれるクラウドベース開発プラットフォームである。もともとは「Forge」という名称で知られており、ソリューションのカスタマイズ、ワークフローの作成、他ツールやデータとの統合を支援するAPI(Application Programming Interface)とサービスを提供し、あらゆるプロセスをつなぎ、ワークフローの自動化やインサイト(洞察)の獲得を支援するものとして、開発が進められていた。業界別クラウドは、Autodesk Platform Servicesを共通基盤として利用し、ソリューションの接続性、拡張性、オープン性を高めているという。
設計/製造業界向けクラウドのAutodesk Fusionは、設計から製造、販売までの製品開発ライフサイクル全体にわたって、データと人をつなぐための次世代ワークフロー環境を提供する。Autodesk Fusionで提供されるクラウド製品は「Fusion 360」「Fusion 360 Manage with Upchain」「Prodsmart」だという。
メディア&エンターテインメント向けクラウドのAutodesk Flowは、初期のコンセプトから最終的な配信まで、コンテンツ制作のライフサイクル全体にわたって、ワークフロー、データおよびチームをつなげるための環境を提供。Autodesk Flowで提供される最初のクラウド製品は、制作プロセス全体における資産管理にフォーカスしたものだという。
そして、建築/エンジニアリング/建設業界向けクラウドのAutodesk Formaは、設計、建築、建設におけるチーム全体でのBIMワークフローを統合するもので、Autodesk Formaで最初に提供するクラウド製品は、BIMプロセスをプランニングや初期設計の段階にまで広げる際に役立つものになるとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- オートデスクが「Forgeプラットフォーム」を軸にオープンスタンダードを主導
Autodesk主催のデジタルカンファレンス「Autodesk University 2021」のゼネラルセッションにおいて、同社 社長 兼 CEOのアンドリュー・アナグノスト氏は、クラウドベース開発プラットフォーム「Forge」のさらなる進化、活用の方向性とその価値について説明した。 - 新たな可能性を提示するオートデスク、カギを握るクラウドデータ基盤「Forge」
Autodeskは、グローバルカンファレンス「Autodesk University 2020」をオンラインで開催した。“REIMAGINE POSSIBLE”をテーマに据えた同イベントの基調講演には、同社 社長 兼 CEOのアンドリュー・アナグノスト氏が登壇し、これからの業務の在り方や新たな変革を支援する同社の戦略などについて語った。 - トップの発言も過熱!? 3D CADベンダーによるプラットフォーム競争がさらに激化
2020年、3D CAD業界で大きな動きを見せたのが各社による“プラットフォーム戦略”への取り組みだ。特に、ダッソー・システムズ(SOLIDWORKS)とPTCは新たなポートフォリオを打ち出し、その展開を加速させている。2021年はさらにその動きが本格化する見通しだ。 - Autodeskがブランドイメージを一新、新ロゴやブランドカラーを披露
Autodeskは、同社の新しいロゴおよびブランドカラーをはじめとするルック&フィールを変更したことを発表した。新たなブランドイメージは、新しいロゴのシンボルの一部に焦点を当てて作成された、抽象的な3Dの幾何学的フォームを特徴としている。 - LTの価格でフル機能が使える、生まれ変わった「AutoCAD」と「AutoCAD Plus」
オートデスクは、オンラインで「AutoCAD 新戦略記者説明会」を開催し、従来の「AutoCAD」「AutoCAD LT」によるツール提供を戦略的に見直し、日本市場向けに大幅な変更を加えたことを発表した。従来のAutoCAD LTが「AutoCAD」に、従来のAutoCADが「AutoCAD Plus」となり、新しい「AutoCAD」はLTの販売価格のまま、業種別ツールセットを除く従来のAutoCADのフル機能を利用できる。 - 製造業もハイブリッドワークへ、ワクチン普及後の世界で求められる働き方とは
オートデスクは、製造業/建設業エグゼクティブセミナー「アフターコロナに勝ち残る! 未来の働き方とは」をオンラインで開催(会期:2021年5月26日)。同セミナーのトップバッターを務めたIDC Japan PC、携帯端末&クライアントソリューション グループマネージャーの市川和子氏は「働き方の未来:ハイブリッドワークの実現とその先に向かって」と題し、アフターコロナにおける働く場/働き方の変化や、キーとなるテクノロジーなどについて考えを述べた。