新たな可能性を提示するオートデスク、カギを握るクラウドデータ基盤「Forge」:Autodesk University 2020(1/2 ページ)
Autodeskは、グローバルカンファレンス「Autodesk University 2020」をオンラインで開催した。“REIMAGINE POSSIBLE”をテーマに据えた同イベントの基調講演には、同社 社長 兼 CEOのアンドリュー・アナグノスト氏が登壇し、これからの業務の在り方や新たな変革を支援する同社の戦略などについて語った。
Autodeskは2020年11月17〜20日(米国時間)、グローバルカンファレンス「Autodesk University 2020(以下、AU2020)」をオンラインで開催した。
“REIMAGINE POSSIBLE”をテーマに据えた同イベントの基調講演には、同社 社長 兼 CEOのアンドリュー・アナグノスト(Andrew Anagnost)氏が登壇。今日の社会情勢や環境変化を踏まえた、これからの業務の在り方やそうした変革を支援する同社の戦略について、ユーザー事例や新たなソリューション提供の話題を交えながら紹介した。本稿では、アナグノスト氏の講演内容から製造業の話題にフォーカスしてお届けする。
今直面する危機の向こう側にチャンスがある!
冒頭、アナグノスト氏は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、働く環境が大きく変化し、経済、業務プロセス、サプライチェーン、エコシステムがいかに脆弱(ぜいじゃく)であるかを目の当たりにして、「一人一人のレジリエンス(回復力)がどれほど重要であるかに気付かされた。皆が行動を変え、新たな可能性の実現に歩みを進めなければならない。今直面している危機の向こう側にチャンスがあると信じている」と訴える。
その根拠として、アナグノスト氏はCOVID-19の世界的危機が始まって以降、あらゆる局面で、多くの人々や企業が適応力を示してきたことを挙げる。「企業は、全ての仕事にかかわる時間、コスト、リスクを削減するために、アジャイル性と生産性を再創造し、その中でテクノロジーを活用しながら、変革の実現に向けた歩みを進めている。こうした活動によって、今直面している課題が、明日の機会へと変えられているのだ」(アナグノスト氏)。
いかなる産業、モノづくりにおいても、テクノロジーの存在が欠かせない。特に、昨今の情勢においては、リモートでのコラボレーション、デジタルを中心とした働き方が浸透し、多くの企業が需要やニーズの変化に対応するための方法を確立してきた。モノづくりの世界においては、マスカスタマイゼーションへの対応や、バーチャルによるモノづくりといったデジタルの活用が企業の変革を支えている。
また、サプライチェーンも変化のときを迎えている。パンデミック環境下において、製造業の需要は大きく落ち込み、工場閉鎖などによりサプライチェーンが断絶し、生産活動にも支障をきたした。こうした事態についてアナグノスト氏は「おおむね一時的な影響だった」とし、ひとたびサプライチェーンが再編されると、需要も生産も回復に向かったことを受けて、「これから先、近いうちにサプライチェーンはより分散化され、よりレジリエンスの備わったものになっていくだろう」(アナグノスト氏)と述べる。
さらに、こうした“産業のデジタル化”が加速するにつれて、チームや部門間の仕事の流れをいかに調整するかがますます重要になってくると指摘する。
基調講演では、製造業企業の事例として、Decathlon(デカトロン)のロードバイク開発の取り組みを紹介した。
よりリーズナブルで、顧客ニーズを満たし、より地元で、より持続可能な方法で、より環境に配慮した形での製品開発に取り組む同社は、未来のロードバイク開発において、「Fusion 360」を活用。機能だけでなく、形状にも注目し、ブランドの美学に適したものをジェネレーティブデザインでどう導き出すかを検討し、3Dプリンティング技術を組み合わせ、ロードバイクだけではなく、シューズやヘルメットも設計開発する。デジタルとフィジカルの融合を通じて、イノベーションを進化させ、将来的にはバーチャルなフィッティングルームから始まり、本物のライディング体験で終わる、“カスタマージャーニー”の実現を目指すとしている。
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