欧米市場向けに高精度加工と脱炭素を両立、500mmテーブルサイズの5軸マシニングセンタ:工作機械
オークマは、直径500mmテーブルサイズの5軸制御マシニングセンタ「GENOS M560V-5AX」を開発した。「GENOS」シリーズの使いやすさを維持しつつ、欧米市場向け高精度5軸加工と脱炭素を両立している。
オークマは2022年9月9日、直径500mmテーブルサイズの5軸制御マシニングセンタ「GENOS M560V-5AX」を開発したと発表した。「GENOS」シリーズの使いやすさを維持しつつ、欧米市場向けに高精度5軸加工と脱炭素(省エネ)を両立している。
欧米標準仕様のファイブチューニングにより、10分ほどで5軸加工機の精度を最大限に引き出す。機械が自律的に高精度を安定維持する知能化技術「サーモフレンドリーコンセプト」、同技術を応用した省エネ技術「ECO suite plus」を搭載する。
機体冷却装置や過度な空調管理を必要とせずに、高い精度安定性を発揮する。暖機運転や寸法補正の動作時間を削減し、消費電力を低減した。さらに、スラッジレスタンクの採用により、タンク内の切削液のよどみを無くし、切削液に含まれるスラッジを96%回収する(被削材がアルミの場合の実績値)。
床面積は8.2m2と従来機比で25%削減。最大ワーク径は直径700mmで、X軸ストローク1050mm、Y軸ストローク560mm、Z軸ストローク460mmとなっている。
また、標準で強力主軸を搭載。幅広い材種の重切削に対応し、加工時間を短縮する。最高回転速度は毎分1万5000回、最大出力は22kW、最大切削量は毎分672cm3(被切削材:鋼材S45C、エンドミル加工)となっている。
重切削負荷を安定して支える高剛性門形構造を採用。両端支持の高剛性トラニオンテーブルにより、最大400kgの重量ワークを支える。
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