サービスロボットなどの遠隔運用技術基盤開発、マルチベンダー対応も実現へ:サービスロボット
OKIはリモートDXプラットフォーム技術「REMOWAY」を開発、OKI蕨システムセンター(埼玉県蕨市)において報道陣向けにデモンストレーションを行った。REMOWAYは既にパートナー企業と実証実験を進めており、2024年、2025年をめどに社会実装を目指す。
OKIは2022年9月27日、リモートDXプラットフォーム技術「REMOWAY」を開発したと発表、OKI蕨システムセンター(埼玉県蕨市)において報道陣向けにデモンストレーションを行った。REMOWAYは既にパートナー企業と実証実験を進めており、2024年、2025年をめどに社会実装を目指す。
サービスロボットの運用で事業化図る
OKIでは2020年に社長直轄の組織として、それまでのイノベーション推進部と研究開発センターを統合したイノベーション推進センターを設立し、中長期で既存事業とは異なる分野での事業創出を目指している。
OKI イノベーション推進センター長の前野蔵人氏は「AIエッジをわれわれのキーリソースとして、強い差別化技術を作りながら5つの新規分野で事業を起こすことをミッションとしている。サービスロボットが増えてくるとその運用が課題になってくる。高度遠隔運用分野において、REMOWAYはその運用をビジネスとして立ち上げることを目指している」と語る。
各業界で人手不足が深刻化していく中で、今後サービスロボットのさらなる普及が見込まれる。REMOWAYは、さまざまなサービスロボットやウエアラブル端末、各種センサー、クラウドサービスなどを結び付けて柔軟に連携制御を行う。
異なるメーカーのロボットでもOKIのエッジモジュール「ROMBOX(Remote Operation Module BOX)」を使用することで一体運用ができる他、OSS(Open Source Software)の活用により多様なデバイス、クラウドサービスとも統一の環境でマネジメントできるマルチベンダー対応となっている。
エッジ端末から取得したデータはリアルタイムでモニタリングでき、1人で複数のロボットを制御し、多拠点の現場を管理する1:N運用を実現する。人が介在する業務において人材リソースを最小化しつつ、事業拡大をサポートする。
年間数十億円規模の売上が見込める分野へ
OKI イノベーション推進センター ビジネス推進部 シニアスペシャリストの伊藤真弥氏は「今、労働力不足は本当に深刻になっている。一方で、商業施設や介護施設、工事現場、公共施設などにおいて人が必要な場面はまだあり、人手不足を補完する仕組みが必要になっている。パートナー企業と価値検証をしっかりと進めながら、2024年、2025年の社会実装を目指したい」と話す。年間数十億円規模の売上高が見込める分野から提供を進める。
現在、建物や駅構内の施設監視や工事現場における安全監視などの分野でパートナー企業と共創を進めており、技術開発拠点であるOKI蕨システムセンターを実証実験の場として活用している。
デモンストレーションでは、米国のRobotemiのスマートロボット「temi」を用いた自動巡回、エレベーターとの連携を披露した。
監視員役の社員がREMOWAYから巡回開始の指示を出すと、temiが会見場を出発してOKI蕨システムセンター内の巡回ルートを走行、ごみ箱や消火器などの指定されたチェックポイントを画像で保存した。異常検知の例として、うずくまる社員を発見すると、その様子を映像で見た監視員が異常発生を知らせ、temiからタブレット端末を持った警備員役の社員に位置情報を送信、警備員役が現場に駆け付けた。
また、三菱電機のビル管理向けIoTプラットフォーム「Ville-feuille」と連携し、OKIが開発中のロボットが3階からエレベーターに乗り込み、1階で降りた後、再び3階に上っていった。階移動時の地図切り替えやロボットの乗り降り完了通知などの機能をREMOWAY側に作り込むことで実現したという。
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