地政学リスクによる製造業への影響、今求められる“必要な打ち手”とは?:メカ設計ニュース(2/2 ページ)
キャディは、地政学リスクなどによる製造業への影響調査の結果と事業戦略に関する記者説明会を開催。調査結果のサマリーとともに、地政学リスクによる製造業への影響に対する“必要な打ち手”について、同社 代表取締役の加藤勇志郎氏が解説した。
地政学リスクによる製造業への影響に対する“必要な打ち手”とは
続けて、加藤氏は今回の調査結果を踏まえ、地政学リスクなどによる製造業への影響に対する“必要な打ち手”とは何かについて解説した。
まず、コロナ禍、そして、ウクライナ問題や中国のロックダウン、台湾を巡る米中対立などの外部環境の変化によって、「価格高騰」「供給制約」「納期遅延」の3つが起こっていることをあらためて説明。その結果、調達では必要な材料や部材が入手できず、値上げへの対応や代替品への差し替えといった有事対応が進んでいる状況にあり、「中長期的には国や地域の移転、新規サプライヤーの開拓など、調達網の抜本的な見直しを迫られているものの、実際にそれらが完了している企業は非常に少ない」と加藤氏は指摘する。また一方で、社内の人手不足や他部署/社内での連携のしにくさなどが実行のハードルとなり、調達課題への対応が追い付いていない状況を生み出しているという。
このような状況から、今回のアンケート結果にもあった通り、自社の調達/購買の方針や戦略を中長期的に見直す必要性があるとの認識が高まっており、製造業の調達強靭(きょうじん)化に向け、調達課題に対しては「冗長性/アジリティの担保」、そして、実行のハードルに対しては「調達組織の強化」の2つの戦略が必要だとしている。
キャディは、冗長性/アジリティの担保と、調達組織の強化の実現に向けた支援として、サプライチェーンのデジタルトランスフォーメーション(DX)によるアプローチを展開。その具体的な取り組みとして、水平分業的な特定機能の外部集約を進める「外部集約化」と、インテリジェントなシステムの自社内活用を進める「内部資産化」を推進している。
そして、この2つの取り組みを担うのが同社における「モノ事業」と「ソフト事業」だ。モノ事業では、独自開発の原価計算アルゴリズムにのっとった自動見積もりシステムによって、品質/納期/価格が最も適合する会社とのマッチングを可能にする受発注プラットフォーム「CADDi」を軸とする価値提供を、ソフト事業では2022年6月に正式リリースした図面データ活用クラウド「CADDi DRAWER」による図面データの管理/資産化の実現を支援する。
「CADDiは世の中にある工場をつなげ、全体集約化することによって、仮想的な工場のような役割を果たすことから『バーチャルファクトリー』という呼び方をしている。その中において、図面解析や原価計算、受発注管理、検査管理などの『プロセスのデジタル化』と、材料の集中購買や生産/品質の標準化、生産管理などの『工場のデジタル化』の2つのイノベーションを実現している点がキャディならではの強みだ」(加藤氏)。
また、CADDi DRAWERの活用によって、多くの現場で図面が最重要データと位置付けられているものの、属人的な管理や検索性の低さから、資産とは程遠く、そこから価値を生み出す状況になっていない現状を打破し、図面データの資産化を支援するとともに、コストの増加や属人化などの課題解消、付加価値の創出につなげていくとしている。
キャディは、受発注プラットフォームと図面データ活用クラウドの提供を通じて、製造業におけるモノとデータのスムーズな取引を支援するとともに、モノ事業とソフト事業のシナジーによって、周辺領域における課題解決、DX推進につなげていくとの考えを示す。
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