DMG森精機が第2本社の奈良商品開発センタ公開、DX構築など行うグループ最大の最先端研究開発拠点:工作機械(2/2 ページ)
DMG森精機は2022年8月29日、奈良県奈良市に建設して同年7月1日から稼働している奈良商品開発センタを報道陣に公開した。同社は奈良商品開発センタの稼働を機に、本社を愛知県名古屋市から奈良商品開発センタに移転した。
奈良で進める数々の拠点集積
奈良商品開発センタの開設は、国内の生産体制刷新の一環となる。奈良県大和郡山市にあるDMG森精機の奈良事業所では、小型のターニングセンタおよび同時5軸加工機を生産していたが、今後その全てを三重県伊賀市の伊賀事業所に集約する。伊賀事業所では工作機械本機の組み立ておよび使用部品の加工、主軸、ボールねじなどの精密主要部品の内製化に取り組む。「工作機械及び基幹部品の生産は全て伊賀工場に移し終わった。伊賀工場の機械加工工場を完璧な組立工場に変えた。今後伊賀には年間数十億円の投資を行っていく」(森氏)。
奈良事業所では、2016年1月から稼働しているシステムソリューション工場(敷地面積:4200m2)に加え、これまで機械加工および組立を行っていたエリア1万5600m2を全面改修し、従来比約4倍の敷地面積のシステムソリューション工場に変更する。「その際に奈良でテスト加工を行ったり、優秀なエンジニアが働くところがない」(森氏)と奈良商品開発センタの建設につながった。
森氏は「欧米では俯瞰的かつ全体的に工場の効率化を図ろうという動きが出ている。複数台のマシニングセンタに巨大なツールマガジンを付け、場合によっては1カ月程度工具を自動で交換して動かし続けるというものが実際に収められている。奈良事業所でもこういったものを実際に組み上げて、顧客のプログラムで初期のワークを1000〜2000個を削り、ばらつきを測ってから顧客の工場で垂直に立ち上げる。場合によっては1年かかっていた新しい仕組みが2カ月程度で立ち上がる。そういう仕事を既に行っている」と話す。
奈良商品開発センタと奈良事業所、伊賀事業所はWi-Fi完備のシャトルバスで結び、社員の行き来を円滑に行う。森氏は「奈良のほか、伊賀、東京に机を2つ、3つ持っている社員もいる。私自身、眼鏡や印鑑、万年筆、PCの配列まで同じにした仕事環境が奈良と伊賀、京都、東京、ドイツ、米国にある」と明かす。
さらに、グループ会社のマグネスケール(神奈川県伊勢原市)とサキコーポレーション(東京都江東区)の工場を奈良県内の旧国道24号線沿いに新設する。奈良商品開発センタ、奈良事業所も同じく旧国道24号線沿いに位置している。森氏は「旧国道24号線沿いを奈良を代表する通りにしていこうと奈良市長や大和郡山市長と話をしている。奈良は私自身、高校卒業まで過ごした思い入れのある土地。天変地異もほとんどない。また、世界中からお客様を呼ぶのに奈良という土地はいい」と話す。
2022年4月に女子大学として日本では初めて工学部工学科を開設した奈良女子大学とは同年3月に包括協定を結んでおり、奈良商品開発センタでの実習なども行われる予定となっている。
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